国見の事例に可能性はあるのか?

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 読売新聞に「変わる部活動」が連載されている。今日で4回である。1~2回は、陸上の青山学院大学の原監督の指導方法の紹介だった。3~4回が長崎県雲仙市の国見地区の紹介だ。元日本代表の大久保氏の出身校である長崎県立国見高校があるところだ。記事では、次のように紹介されている。

「長い年月をかけて全国に根づいた部活動には、それぞれの地域が守り育ててきたスポーツがあり、積み重ねた人のつながりがという財産が必ずあるはずだ。それが弾みになり、突破口になる。国見の事例はその可能性を示している。」

果たしてそうだろうか?確かに、国見地区には、伝統と財産がある。それについて、どうこう言うつもりは一切ないし、素晴らしい取り組みだと思う。ただ、新聞報道の姿勢が気に食わない。果たして、国見地区の事例が、可能性を示しているのかということだ。部活動の民間移行は、かなり大きな壁を有している。いままで、教員のボランティアによって担ってきた部活動を民間に移すわけであるから、「人・モノ・金・時間・情報」というあらゆる資源が必要になる。国見地区のように、地域の伝統と財産があるところは、移行が容易なのかもしれないが、そんな地域は全国でどれだけあるというのだろう。国見地区もサッカーという一つの競技の取り組みである。一つの競技ですべての中高生をカバーできるとは到底思えない。

 以前から言っているように、教員の働き方改革は、給特法の廃止をきっかけとして、学校教育・家庭教育・社会教育の適切な役割分担が必要である。今まで、生徒指導・部活動など、学校教育に「おんぶに抱っこ」状態で行ってきた。基本的な生活習慣を育てる生徒指導は家庭教育に、部活動は社会教育が担うべきである。だから、教育行政が社会教育を充実させ、部活動を担えるようにすべきではないか。

 読売新聞も、こういう実践をしている、またはしようとしている自治体を紹介してほしい。そこには課題が山ほどあるはずだ。指導者をどう確保するのか、活動場所はどうするのか、資金はどう獲得するのか、保護者負担はどうするのか。もっと、課題を明らかにし、社会に問題提起してほしいと思う。今まで、本当に教員のボランティアで実践してきたのだから。社会が教員に甘えていたのである。その実態をもっと明らかにしてほしい。


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