「公私における切磋琢磨」を本気で考えていますか?


 本日の読売新聞の解説欄に大阪府の吉村知事が進める私学の高校無償化について掲載されていた。制度の詳しい内容は、大阪府の下記のwebを参照していただきたい。

令和6年度以降の私立高校等授業料無償化制度の改正(案)について

 話題になったのは、私学の負担が増えることによる私学側の反対運動である。当初授業料が60万円を上回るなら、その分は私学負担となっていたが、これに私学経営者が猛反発し、結局63万円で決着した。もう一点は、他府県からの通学者はどうなるかという問題で、大阪府は他府県に協力要請をしているが、こちらの問題は進展していないようだ。マスコミは、大まかこの2点を取り上げて報道するが、肝心なことが伝えられていない。

 そもそも、私学の無償化制度は、「公私における切磋琢磨」という理念のもとに進められている。公立高校も私立高校も共により良い教育を行うことで、大阪府の教育を高めようというものである。そのために、私立高校にかかる授業料を無償化することで、競争するための「土俵」を創るというものだ。本当に自由な競争ができる公平な土俵が整備されているのだろうか。大いに疑問である。
 大阪府では、条例により、「3年連続で定員割れをした府立高校は、再編対象」と決められている。この条例により、再編統合が進めらているが、募集が停止し、敷地がその後も府立高校として使われない府立高校は、13校にもなる(ただし、再編統合対象で敷地が使われるが名称が変更される府立高校を加えるともっと対象校は増える)。今回の無償化措置により、府立高校の再編・統廃合はさらに加速すると予想されている。この事態にについて、マスコミは、ほぼ沈黙である。

 私は、「公私における切磋琢磨」は大いに推進すれば良いと考えている。賛成派である。こういう外圧が無ければ、公立高校の教育の質的転換もなかなか難しいからである。ただ、自由競争を保証する「公平な土俵を創ってほしい」と思っている。「公私における切磋琢磨」の最前線は、生徒獲得競争である。そして、その最も焦点化するのが入試である。大阪府の入試制度では、2月初旬私立入試→2月下旬公立特別入学選抜→3月中旬公立一般入学選抜となっている。私立高校が先行するのである。生徒獲得競争で先取りが許される状況なのだ。これでは、公平な競争は行われない。公立高校も私立高校も同一試験日を複数回設定するという案はどうだろう。そうすることで、受験生は、私立・公立の区別なく、選ぶことができる。例えば、

   2月中旬特色ある学科コースの入試→3月初旬残りすべての合格枠を対象とする受験→3月中下旬定員を満たしていない学校への出願

というように。そして、最後の段階で定員割れを3年連続した公立高校は再編対象にし、私立高校には公金を投入しない。ここまでやって初めて「公私における切磋琢磨」をするための「公平な土俵」が出来上がると思う。

吉村知事をはじめ、維新の皆さん、ここまで改革する勇気はありますか?今のままでは、単なる公立高校潰し、公立高校いじめに過ぎません。本気で切磋琢磨させたいなら、入試制度を変え、公私を同一土俵にあげるべきです。維新の本気度を府民は注視しています。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

PAGE TOP