「最高の教師」になぜ惹かれるのか?


 土曜日の夜10時から放映されている「最高の教師」に初回から惹きつけられている。この番組、荒唐無稽な設定で始まっているにも関わらずである。何が荒唐無稽か?
(1)主人公である九条は、卒業式の日に自分のクラスの誰かに突き落とされたにも関わらず、気が付けば4月6日の始業式の日に教室に立っていた。有り得ないSFの世界である。
(2)自分を殺すことになる容疑者の生徒30人に対して、その殺意を取り除いていくために、九条は「何でもする」と生徒に宣言する。そしてクラスを変えるために、隠しカメラを設置する。これも生徒のプライバシーの問題に抵触する由々しき問題で、そのことが問題として取り上げられていないことに現実離れした舞台設定だと言わざるを得ない。
(3)校長は一切姿が見えず、頼りなさそうな事なかれ主義の教頭が一人で学校を「切り盛り」しているように見える。さらに学年教師の横の連携もなく、九条は一人で問題学級に対応している。これも実際の学校では有り得ない。
(4)九条は、未来に起こる出来事を生徒に告げることで、生徒の内心への切り込みを行う。これも有り得ないし、普通はできない手法だ。
こんなドラマなのに、なぜ惹かれるか?それは、生徒一人一人が抱えている問題がリアルであること。そして、その問題を解決するために、九条が生徒に投げかける言葉が核心をついていることだろう。

 ネグレクトの親に対して自分の気持ちをぶつけるようにサポートする九条。自分のやりたいことをやりきるために「完全にハミッてください」と主張させる九条。居場所を求めて好きでもない男と付き合う女子生徒に自分を大切にすることを目覚めさせる九条。どの回の九条の言葉も、問題の核心をついている。そして、生徒への寄り添いも(現実にできるかどうかは別にして)核心をついている。だから、このドラマに惹かれるのだろう。特に、第6回、自分の死を予感した鵜久森が、担任の九条に送るビデオメッセージは、今まさに夏休みを終えようとしているこの時期に、学校への不安や閉塞感を持っている多くの生徒への強烈なメッセージとなっていた。
 今後、益々ドラマは佳境に入っていくだろうが、このドラマ、中高生は見ているのだろうか?見ている中高生は、どのように受け止めているのだろうか?中高生の意見・感想を聞きたいと思った。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

PAGE TOP