「話す」も大変だが、「書く」も大変!ー学力テスト英語結果


 7月31日、全国学力学習状況調査の結果が発表された。マスコミが一斉に報じたのは、「話す」正答率12.4%という結果である。前回の結果から17ポイントも下がる結果になってしまった。問題の設定が、中学生には難しかったのではないかという意見も掲載されていたが、ニュースを聞いて「それほど不適切ではない」と私は思った。問題は、次の2点である。
 1点目。NHKのニュースでインタビューに答えていた中学生が、「問題を聞いて、どのように答えるか単語を浮かべて、どのように話せばよいかを組み立てなければならないのが難しかった」と答えていた。問題の第一は、この中学生の返答の中にある。つまり、「英語脳」になっていないということだ。日本人の頭の中には、次の手順で変換されていく
      英語を聞く→英語を日本語に訳す→日本語で返答を考える→返答を英語に訳す→英語で話す
である。会話というのは、瞬時に反応して成立している。少なくとも、
      英語を聞く→英語の文が頭に浮かぶ→英語で答える
という頭の神経回路が形成されないと、通常の会話は難しい。この問題、どうすればよいか。最も近い道は、「英語漬け」になる時間を増やすしかない。中学校でも英語の時間は、英語のみで授業をするようになっているが、これだけでは足らないのだろう。日頃から(例えば、週1・2回昼休みの友人同士の会話は英語のみにするとか、この場所で使っていいのは英語だけというスペースを設けるとか)英語を使う機会を増やすことが考えられる。その他にも、体を動かすことが多い体育の授業を英語で行うのもよいのではないかと思う。体の動きと英語が同時にリンクするので、知らず知らずのうちに英語脳になっている。例えば、youtubeで外国人インストラクターのダンスやトレーニングなどを取り入れるのも面白い。
 2点目は、「書く」の低迷である。これは、英語の力そのものが落ちていることが考えられる。私が英語を習った時代は、英語の4技能のうち、「読む」「書く」という受験英語が中心だった。「話す」という機会などは全くなく、「聞く」でさえ週1回のリスニングの時間だけだった。それはそれで歪な英語教育なのだが、未だに中学英語くらいの文は書くことができる。「書く」は、英語で表現する力の根本ではないかと思う。「話す」が低正解率なのは、「さもありなん」と思うが、この「書く」の低迷の方が、「なぜ?」と思ってしまう。

 以下、余談だが、ALTの問題である。ある高校でALTが配置された。そのALT、カナダの大学院を卒業して来日した非常に優秀な人だった。一度授業を見せてもらったが、どうもよくない。日本の高校生の英語の実力がわかっていない。とにかく、間違った英語を生徒が使うと、ストップさせて訂正するのである。これでは、生徒は英語を使うことに委縮してしまい、どんどん声が小さくなっていく。そうすると、「もっと大きな声で!」と注意するのであるが、これでは生徒は英語を使いたいと思わないだろう。ALTが優秀すぎるのも問題だ。


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