韓国社会に関する二つのニュース

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 昨日、7月24日のクローズアップ現代+と25日の朝7時のNHKニュースで韓国社会に関する二つの動きが報じられた。クローズアップ現代のほうは、「イエス ジャパン」、そして7時のニュースは「キラー問題」の廃止である。「キラー問題」は高校の学習範囲を超えて出題されるらしい。これでは、教育産業は儲かるだろうと思うし、経済格差が教育格差につながる。この廃止について賛否は拮抗しているらしい。急な改革ということもあるが、できる生徒できない生徒の意向もあるのではないかと思われる。

 さて、「イエス ジャパン」現象について。今、韓国では日本語と韓国語交えた話し方が若者で流行っているらしい。さらに、日本語しか話せないパブとかも紹介されていた。少し前に徴用工問題で「ノー ジャパン」で揺れていた韓国は、どうなったんだ?と思わせる現象である。解決した学者さんは、年代によって日本に対する印象が違うのではないかと述べていた。つまり、高齢者は、植民地時代の記憶が親の世代からの話も含め、鮮明に残っている。中高年は、先進国の日本としての憧れと反発がある。若者は、韓国の経済発展で日本に対する負い目もなく、対等平等の日本というイメージを持っているらしい。なるほどと思わせる。事実GDPにおいては、韓国は日本を抜いている。これからは、あらゆる面で互いに切磋琢磨していく隣国として互いに尊重しあうことができれば良いだろう。
 それにしても、1910年から1945年までの朝鮮半島の植民地支配の政策について、右からも左からも論が張られ、その評価が定まらない。評価される一つが、朝鮮半島の近代化に寄与したではないかということ、批判されるものが同化政策である。この両方の側面があるというのが正しい評価なのだろうが、この歴史的問題に政治的な立場が絡んでしまうので、なかなか日韓での真摯な学術的共同研究が進まないのである。残念である。
 この植民地支配でいつも思い出すのが、次のこと。当時の日本が「なぜ、カエサルを学ばなかったか?」ということである。ローマ帝国は、「帝国」という名前がついているので、他国を侵略し植民地化し、収奪や搾取を繰り返したのではないかというイメージが付きまとう。しかし、実際はそうではない。カエサルの「ガリア戦記」には、確かに抵抗する地元住民との戦いも記されているが、服従するもののは地元民が信仰する神を祀ることを許したし、カエサルの称号さえ与えた。そして、当時の高速道路であるローマへの道も整備されて、物流が活発になったのである。つまり、ローマ帝国並みのインフラ化(近代化)したが、同化政策はとらなかったのだ。だから、ローマ周辺の諸国は、こぞってローマ帝国傘下に入りたがった。イギリス首相であったチャーチルは、昔ブリテンがローマ帝国の傘下にあったこと自慢したとか・・・。日本の当時の政府がこのような政策をとっていれば、100年以上たってもいまだに政治問題化するような事態にはならなかったのではないかと思う。日本の近代史の中での汚点であろう。日本人の唯我独尊的気質が、このような同化政策をとらせたのではないかと思う。まあ、当時の帝国主義時代には「多様性の尊重」という概念も希薄であったろうが・・・。カエサルを知っていれば、と思うばかりである。


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