国際バカロレアーその5の余談

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 その5に書こうと思ったが、長くなるので「余談」として書く。附属中に赴任してすぐにデータ分析を行った。様々なデータ分析を行ったが、定員割れ問題に関しては、少子化傾向と出願数傾向の相関関係である。データ分析の目的は、北幡地区の少子化と附属中の出願状況に強い正の相関関係があれば、少子化の影響を受けた定員割れという分析ができるが、正の相関関係がなければ、定員割れ問題を地域の少子化とは別の原因があると考えなければならないからである。
 そこで、データが入手可能な2011年からの附属小中の出願者数と加東市の小1と中1の入学者数の相関関係を調べた。相関係数は次のとおりである。

   北幡地区中1の生徒数と附属中の出願者数の相関係数・・・0.426009
   加東市の中1の生徒数と    〃   の相関係数・・・0.594604

この結果から、附属中と地元自治体とには、強い相関とまでは言わないまでも正の相関関係があることが分かった。次に付属小の結果は、次のようになった。

   北幡地区中1の生徒数と附属小の出願者数の相関係数・・・0.322131
   加東市の中1の生徒数と    〃   の相関係数・・・0.040277

となった。まだ北幡地区では、弱いながら正の相関関係は認められるが、加東市と付属小の間には、相関関係は認められないのである。ということは、附属小の定員割れには、少子化問題以外にも問題があることをデータは示しているのである。
 私は、この問題を大学に報告したが、無視された。この令和3年度の1学期は、附属小・中の定員問題が議論されており、どちらも定員を減らす方向で議論されていた。附属小は90→75、附属中120→90である(この数字からわかるように、附属中は付属小の在籍生徒が全員進学しても定員割れを起こす構造になっているので、広報活動に力点を置かなければならないのは当然だったのだが・・・)。少子化で定員を減らすことには賛成だが、この方策だけで定員割れ問題は解決しないというのが、当時の私の主張である。だが、附属小にも大学にもこの主張は取り上げられなかった。それから約2年近く。実際に定員を減らした令和5年度の入試が行われた結果、附属中は国際バカロレア路線が評価され、定員90名を超えた。120名には達しなかったが、100名を超える出願があったのである。だが、附属小は75名さえ満たすことができなかった。幼稚園も定員割れを起こした。私の予想が悪い方向で当たってしまったのである。この時点になって大学もようやく慌てだした。ちょうど令和5年の年明けごろから、学長から「附属学校園の広報を考えろ」という指示が来た。あまりにも遅いと言える。この指示により、赴任当初から考え、実践してきた国際バカロレア路線をA3用紙7枚にまとめて(ふんだんにデータを入れて)提出した。私にとっては、広報戦略≒学校経営戦略そのものだから、それほど膨大な作業ではない。その後、私は学長から「校長不適格」を言い渡されたので、私が提出した広報戦略はどうなったかは知らない。おそらく闇に葬り去られたと思う。3附属校園で唯一定員割れを克服した経営方針であるにも関わらずである。まあ、これが大学というものなのだろうと今は達観しているが、それにしてもマネジメント能力に欠ける人たちの集まりだ。教師の再教育を謳っているなら、まずは自分たちのマネジメント力を再教育したらと思う。少々いいすぎ?でも、データは正直です。


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