国際バカロレアについて・・・その2

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 前回書いたように、私は国際バカロレアの教育プログラムに大いに魅力を感じていた。特に,TOKについては、日本の「総合的な学習の時間」に無い内容とそのレベルの高さに、一度はチャレンジしてみたいと思っていた。しかし、そのレベルの高さゆえに、大阪府立高校では無理であると判断していた。このレベルの教育を行うとなると、教育委員会がイニシアティブを発揮しないと無理なのである。と考えていたら、大阪市教育委員会が、国際バカロレア中高学校を半官半民で開設した。施設や管理は市が行うが、教育内容は民間であるYMCAが担うというものである。校長会で、一度大阪市教育委員会の担当指導主事の話を聞いたが、このような仕事に携われることにうらやましいと感じた。国際バカロレアとは、教育委員会が主導するか、私立学校が生き残りをかけて、理事長のリーダーシップがなければできないだろうと思うようになり、府立学校の定年を迎えた。
 定年後、私は兵庫教育大学附属中学校の校長に勤めることになる。きっかけは、兵教大が附属中の校長を公募していたことによる。兵教大の教育政策リーダーコースの大学院を修了したこともあり、受験することにした。でも、「受かれば儲けもの!」としか考えていなかった。なぜなら、私自身がずっと高校での勤務であるということ、そして大阪府での勤務であることから兵教大附属中での勤務は、「遠い存在」だったのである。書類選考は、「附属中の学校改革プラン」の提出だった。事前に、事務の方に聞いてみると、なんと20年近く定員割れを繰り返しているというではないか。これは、相当気合を入れて改革しなければ、とんでもないことになると考え、プランを練った。プランの骨子は、
   ①SDGsを中心とした探求学習の推進
   ②「主体的・対話的で深い学び」の授業の質の向上
   ③socity5.0を目指す学校づくり
   ④学校関係者評価の徹底による強み・弱みの分析
   ⑤寄宿舎を利用した大学生とのバディ制度の導入
   ⑥授業アンケートの実施による授業力の向上
   ⑦教職員の働き方改革の推進
である。書類選考は通過したが、その後の面接の出来は、50%以下というのが自己評価なので、「もう無理だろう」と思っていたら、担当者から電話があり、採用が決まったのである。①~⑦の中で、実現できなかったのは⑤のバディ制度である。新型コロナウィルスの感染拡大もあり、これは実現できなかった。しかし、自分の頭の中では、兵庫県加東市という地方都市に立地している限り、全国的にも有名になるくらいの教育実践を挙げることでしか、「生き残り」の道はないと考えていた。モデルとしていたのは、島根県の島前高校である。だから、
        学校の魅力化推進⇒北幡地区以外からの生徒獲得の制度整備(これがバディ制度)⇒定員割れの克服
という路線を描いていたのである。⑦の働き方改革は、すでに大阪府でその実践が開始されていたので、当初から私の頭の中には、「部活動指導員の派遣」という絵が描かれていた。結果から言うと、⑦がきっかけで学校を去ることになるのだが・・・。
 こんな経過で、兵庫教育大学附属中に勤めることになった。いざ、4月から学校に勤めだすと、驚くことが3つあった。
        一つ目・・・附属中の教師のレベルの高さ
        二つ目・・・探求学習に熱心なこと
        三つ目・・・定員割れの深刻さ
である。追加しよう、四つある。大学のDX化が大阪府と比べても20年以上遅れていることである。1学期間、学校の様子を見させてもらった。そして、結論を出したのである。附属中の改革は、国際バカロレア路線しかないと!(続きは、次回に・・・)


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