指定校推薦訴訟


 2月17日の読売新聞地方版に大きく「学校ミス 志望大受けられず」という記事が掲載されていた。学校関係者にとっては、大きな関心事だ。大阪商業大学高校を卒業した男性(19)が、志望大学への指定校推薦を学校側のミスで受けることができなかった。そのため、学校を相手に訴訟を行い、大阪地裁の黒田裁判官が学校側の不手際で「他の受験先の選考を受ける機会が失われた」と判断し、44万円の支払いを命じた。

 事案の経過はこうである。
23年8月末 校内で推薦枠がある大学と募集要項の一覧が提示

9月4日 男性が府内の工業大学を第一志望とし、エントリーシートを提出

9月9日 学校から指定校推薦の決定が男性に通知される

10月上旬 担任が男性に出願資格がないことに気付く。「数学Ⅲまたは物理」が必修科目になっていたが、男性は履修していなかった。

指定校推薦の2次募集を受け付けていたが、この時点ではすでに締め切られていた

なぜ、このような受験資格がない指定校推薦に男性が応募したかというと、校内で掲示された一覧表には、作成した教員のミスで、必修科目の要件が書かれていなかったからである。男性の主張は、第一志望で進学できるとの期待を裏切られたことに加え、学校側が記載漏れに10月まで気づかなかったため、第2志望の推薦を受ける機会も奪われたというものである。

 一方、学校側の主張は、第一志望の推薦については、男性はそもそも要件を満たしておらず、「記載漏れで第一志望を受験する機会を喪失したわけではない」と反論し、第2志望に応募していても、男性より評定が高い生徒がおり、「推薦を得られたとは限らない」というものだ。

 これに対して、裁判所の判断は、
・男性が第一志望に推薦入学可能性はなく、第2志望の推薦は必ずしも得られていたとは言えない
・一方記載漏れが無ければ、他大学の推薦を得られた可能性は十分にあった
・正しい情報に基づいて受験先を選び、選考を受ける機会を失ったこと自体が権利・利益の侵害に当たる
という判断である。

以上が、この指定校推薦訴訟の概要だが、私の考えを述べたいと思う。はっきり言って、学校側が全面的に間違っている。訴訟を起こされ反論しているが、そもそも正しい情報を提供していなかった時点で、学校側が男性に謝罪を行い、真摯に対応すべきである。学校現場を経験したものからすれば、進路指導部が絶対やってはいけないミスなのだ。
 また、指定校推薦選考会議とそれに向けた進路指導部での準備で、大学からの指定校推薦要綱に基づき、詳細な出願要件の確認を複数人の目で行うはずだ。学年団・進路指導部合同の選考会議では、全員で審議を行う。それが指定校推薦選考会議だ。生徒の進路に関する重要な会議で、だれも要件を満たしていないことに気付かなかったというのは、学校のミス以外の何物でもない。重大な瑕疵だ。
 学校側が反論しているような「そもそも受ける資格が無かった」とか「他にも評定が高い生徒がいた」というような主張は、己のミスを棚に上げた教育者としてはあるまじき主張である。よくもこんなことが言えたものだ。私がこの学校の校長なら、平身低頭して謝罪する。

 何回も言うようだが、こんな重大なミスを犯した上で、訴訟されたら反論するような学校に、高校授業料無償化で税金を投入して良いのかという事を真剣に検討してほしい。


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