主権者教育ってなんだ?


 1月29日の読売新聞の教育欄に、「重み増す『主権者教育』」という見出しで、主権者教育の話題が掲載された。主権者教育の実践として紹介されていたのが、東京都久留米市にある自由学園高等部だ。私は、20年ほど前にこの学校に訪問したことがある。インクルーシブ教育の関係で、生徒と一緒に学ばせてもらったのだ。

 この学校の主権者教育の実践は、記事を読んでいただきたい。まだましな実践をしていると思う。10年前に18歳の選挙権が認められた時には、学校現場で「主権者教育」が流行った。「」を付けたのは、それモドキの実践が横行したからだ。その典型が「模擬投票」である。実際の投票箱をわざわざ自治体から借りてきて投票させるのだ。そして、教師は「わざわざホンモノを借りてきました!」と自慢するのである。当時、私はある高校で校長をしていたので、「ご苦労様です」と言ったが、内心「それで主権者教育?」と思っていた。形だけの教育である。実際、そのような主権者教育モドキは、一過性とも言えず、一瞬で学校現場から消えた。当然だろう。意味が無いからだ。

 記事に載っていた自由学園の実践は、実際の記者会見や新聞記事を教材としているので、良い実践だと思うが、それでも足りないと思う。実際に有権者が投票行動を起こすのは、組織票でない限り、何かを解決したいと思って投票するのだ。因みに、組織票は自分の思考を組織に委ねてしまって、自分の頭で考えていないとも言える。
 そうすると、主権者教育で大事なことは、何が問題になっていて、その問題を解決するためにはどんなことが必要で(つまり政策)、その政策の実現に実績があり、また推進しようとしているのはどの政党かという事である。だから、公共や政治経済の授業では、現実社会の様々な課題と政治を結びつける教育が必要なのだ。当然、教育は政治的に中立でなければならない。だからと言って、知識だけを教えても政治には結びつかない。

 東洋大学の林准教授が次のように指摘している。
「選挙前だけではなく、普段から主権者教育を行うことが、若者の投票率向上につながる。授業で地域の問題を考え、解決策を話し合うといった経験が、政治の役割や選挙の大切さを考えるきっかけになるだろう」
と。まさにその通りだ。という事は、探究学習を深めることが主権者教育につながるという事だ。うわべだけの探究学習ではなく、本当に解決しようとすれば、行政や政治との関係を考えなければならない。日本の若者の投票率の向上においても、探究学習の質が問われているという事だ。


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