教職員の精神疾患休職者は多いのか?

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 12月22日、文科省が「令和6年度 公⽴学校教職員の⼈事⾏政状況調査について」を公表した。各マスメディアで注目されているのは、教職員の精神疾患休職者数の推移と懲戒処分者数、特に性暴力による処分者数である。前者は教職員に占める割合が、0.77%と依然高い水準にあると報道されているが、果たして本当に高いと言えるのか。それは、様々な業種と比較しなければ何とも言えない。特に公務員という分野で比較した時、一般地方公務員と比べてどうなのか、警察官と比較してどうなのか、消防士とは?というところを比較しなければわからない。こういう比較をした報道が見当たらないというのは残念だ。文科省の発表した概略シートをそのまま流しているというマスコミが多い。

 そこで、何か資料はないかと検索してみた。すると、一般財団法人地方公務員安全衛生推進協会が発表している「地方公務員健康状況等の現況の概要」がヒットしてきた。令和4年度の資料であるが、資料によると、「主な疾病分類別長期病休者率」は以下のグラフになる。

一目で、地方公務員の精神疾患による休職者は急増していることがわかる。令和4年度で見ると10万人換算で2142.5人ということは、パーセンテージに変換すると、2.14%に達する。令和4年度の教職員の場合は、0.77%であることを考えると、3倍弱という数値だ。このように比較すると、教職員における精神疾患休職者は、一概に多いとは言えない。

 私は、教職員の精神疾患休職者増に問題が無いと言いたいわけではない。12月22日の夜7時のNHKニュースでも、この話題が取り上げられていた。特に休職原因の3番目に多かった「保護者対応」が取り上げられていたのには、ビックリだ。それも、保護者が学校にクレームを入れる音声データまで公開されていた。

 地方公務員も、地域住民への対応で同じようなクレーム対応に晒されているのではないだろうか。そう考えると、日本社会の殺伐さが浮かび上がってくる。

参考
教育新聞:【教員の精神疾患】7087人で高止まり 1年以内に再休職も増加
https://www.kyobun.co.jp/article/2025122201


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