12月19日の教育新聞に日教組の「2025年学校現場の働き方改革に関する意識調査」に関する記事が掲載されていた。早速元データにアクセスしてみた。この調査は、2018年から毎年実施しており、2025年はネットによる調査であるが、調査開始以来、最多となる1万7683人から有効回答を得たという。教員の働き方改革への意識変化が見て取れる。
さて、日教組の元データを基に、1日の「在校等時間」について分析をしてみた。それが、次のグラフである。

日教組の調査報告によると
「平均の在校等時間は10時間17分で、2024年(10時間23分)より6分短く、2018年の調査開始以降、最も短くなった。しかしながら、1日の所定労働時間を2時間32分上回り、これを月20日で換算すると、月45時間の上限を超える。」
と分析している。確かに教員の在校等時間は減少傾向にあるが、勤務時間で仕事を終えている教員は、わずか4.2%に過ぎない。
2018年以降の推移をみると、最も在校等時間が長い12時間以上の教員の占める割合が、
39.5%→13.4%
と大きく減少している。だが、8時間以上10時間未満の教員が、
15.7%→34%
と倍増している。10時間以上12時間未満の教員も微増の状況だ。これは教育委員会、管理職や学校全体として働き方改革に関する取り組みがかなり行われたことによるだろう。だが、未だ95%以上の教員が、残業手当も出ない中で、残業を行っているという事実だ。
次に校種別の在校等時間の割合を見てみよう。それが次のグラフだ。

明らかに高等学校、特別支援学校に比して、義務教育段階の学校での在校等時間が長い。特に中学校での在校等時間は群を抜いている。12時間以上の在校等時間の教員が、小学校の2倍、高校の4倍なのである。さらに、10時間以上在校している教員が70%を超えるのである。かなり厳しい状況であることは、以前と変わりがない。
さらに部活動と在校等時間の関係を見てみよう。次のグラフは、運動部顧問・文化部顧問・顧問無し・学校に部活動無しの4分類の在校等時間の割合である。

運動部・文化部関係なしに部活動が在校等時間に影響していることが見て取れる。12時間以上を見てみても、8時間以上10時間未満を見てみても、顧問のあるなしに大きな差が見て取れる。2026年度から本格的に展開されようとしている部活動の「地域展開」は、教員の働き方改革が進むか進まないかの鍵を握ると言えるだろう。
文科省は、このような実態調査があって初めて、エビデンスに基づく政策立案ができるのではないか。新給特法の下で、どのような改善がなされたのか、又はなされなかったのか、今後の全国的な調査が待たれる。

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