私立高校を志望する理由


 12月17日の読売新聞に、「明光義塾」を運営する明光ネットワークジャパンが行った高校授業料の無償化に関する調査結果が掲載されていた。アンケートは、私立高校の受験を予定している中学1年生~中学3年生の子どもを持つ全国の保護者1,000名を対象に実施されたものである。新聞には、私立高校を志望する理由のデータが途中までしか掲載されていなかったので、明光ネットワークジャパンのwebにアクセスし、元データを見てみた。それが次のグラフである。

 このデータを私立高校が志望される理由から逆の視点、公立高校が私立高校に対抗する手立てとして見てみたい。
 志望理由の№1である「学習環境・設備が整っている」については、公立高校は如何ともしがたい。つい最近大阪府の吉村知事が公立高校の環境改善に乗り出したが、教室の改装程度で、これでは私立高校には対抗できないのが目に見えている。

 志望理由№3の「無償化など経済面で通いやすい」は、今回の無償化政策の影響の大きさ(公立高校希望者の減少)を物語っているが、№2に「大学進学実績」が入っていることを考えると、公立高校が私立高校に対抗する一つの分野が大学進学の実績であることがわかる。

 そして、№5に「教育方針・特色が魅力」があることは、私立高校の「尖った教育」に魅力を感じている保護者が、根強く存在していることを物語っていると言えよう。公立高校という制約はあるが、カリキュラムの柔軟化や特色化を打ち出すことを推奨しているのも公立高校である。どれだけ、「尖った教育」ができるかというのは、私立高校に対抗する公立高校の強い武器になるのではないだろうか。しかしながら、ブログでも掲載したように、現在の中学1年生を対象にした大阪府の特別枠入試制度の導入に関して、各高校が設定した特別枠は、ほとんど「尖っている」とは言えないものだった。せっかくのチャンスをみすみす逃すようなものである。大阪府の教育委員会、そして府立高校の校長の経営能力の劣化と言えるだろう。

 大阪府教育委員会が府立高校の特色として力を入れたのは、全府立高校の国際交流である。しかし、今回の調査では、「英語教育・国際教育などのカリキュラム」の項目は、12.4%で10番目である。下位から数える方が早い。保護者の志望理由の中で、高くないのだ。そんな内容に力入れようとする大阪府教育委員会の的外れ度が、悲しくさえ思う。

 この時期、中学生の進路希望調査の公表がある。昔はここから大きく変動していくことがあったが、今年はどうだろう。2026年度高校入試、全国で地殻変動が起こるのではないかと予想している。


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