一般社団法人ライフ&ワーク代表理事の妹尾 昌俊氏が東洋経済education×ICTに、「3年連続《日本の教員が世界一多忙》汚名返上へ…給特法改正で『働き方改革』義務化、『加速する学校と停滞する学校』を分けるのは”教育委員会”」というタイトルで、11月24日に投稿した。
妹尾氏によると、「計画があればそれでよし、というものではもちろんない。だが、働き方改革に特効薬がない中、また財政事情や人手不足もどんどん厳しくなる中、計画もないところでは進捗させることはいっそう難しいし、必要な予算も確保できない。どのような計画と運用が必要なのだろうか。」ということで、カギは教育委員会にありということで、4つの提言をされている。それは、
(1)「何のための働き方改革なのか」文章にして共有する
(2)テレワーク環境を整備し、勤務時間のモニタリングを
(3)教職員のせいにせず仕組みや環境を変える
(4)「3分類」たたき台に教職員が協議、できることに着手
というものだ。妹尾氏も指摘しているように、今まで「働き方改革」の計画作りは行われてきた。しかし、中々働き方改革は進まなかったのだ。それはなぜか。私は三つの要因があると思う。
一つは、給特法が廃止されていないこと。このことにより、「定額働かせ放題」という根本的なシステムは改善されていない。教職調整手当が年ごとに1%ずつ上がったとしても、やらなければならない仕事量に比して、その労働対価は著しく低い。頑張って労働している者に対して、しっかりと対価を払うという当たり前の労働基準法を適用すべきなのだ。また、労基法の残業手当には、残業への抑止の意味も含まれている。給特法が廃止されない限り、残業抑止へのインセンティブは働かないのだ。
二つ目は、教員定数の見直しである。教員の授業時間数を減少させ、教材研究、児童・生徒・保護者対応の時間の確保、学校運営のための会議の時間の確保を行うべきだ。中学校で35人学級実現に向けて動きがあるようだが、もっと大胆に教員定数を見直さなければならない。そうしないと、仕事量は全然減らないのである。
三つ目は、SC、SSW、SLの3つの人材を学校に常駐させることである。この3つの人材が担う全ての仕事とは言わないが、ある程度は今の教職員が担っている。週一の配置、月一の配置、教育委員会への配置などではなく、学校現場に常駐の形で配置すべきなのだ。
妹尾氏は、「働き方改革の特効薬はない」という。しかし、この発想では、いつまでも特効薬は出てこない。今の働き方改革の政府の方針は、岸田・石破のキシバ政権の下で策定されたものである。高市政権が誕生してから明らかに政治の潮目は変わった。残念ながら、高市首相の口から「教員の働き方改革」という言葉は出てきていない。しかし、「日本をもう一度世界の真ん中に」を実現するには、世界に通用する人材を育成しなければならない。そして、それを実現するのは学校であり、教職員なのだということを、今こそ声を大にして、高市首相に届けなければならないのではないかと思うのだ。
著名な妹尾氏ならば、そのことが可能ではないだろうか。「特効薬が無い」ではなく、何が特効薬かを示すことがいま求められる。
https://news.yahoo.co.jp/articles/48d5f0f61eb49999828d6f55f8f234eabb90ff98?page=4

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