小学校の校内暴力の増加


 10月29日に文科省は、「児童生徒の問題行動・不登校等に関する調査」の結果を報告した。不登校、いじめのデータに注目されているが、実は校内暴力事案の増加にも注目が集まっている。特に小学校での暴力事案が増えているという。

 調査結果によると、全国の小中高校で2024年度に確認された児童・生徒による暴力行為は、過去最多の12万8859件。これは前年度比約2万件増で、実に4年連続の増加である。内訳は、小学校が前年度より約1万3000件増の8万2997件、中学校が同6400件増の4万39件、高校が同460件増の5823件。いずれも前年より増えているが、特に小学校で急増していることが浮き彫りになっている。

 校内暴力と言えば、1980年代は中学校の「荒れ」が注目されていたが、今では小学校の暴力事案が増加しているという。それも対教師暴力事案が増えているのだ。これは一体どういう事だろうか。

 私は、この原因は3つあると思っている。一つは、大人になり切れていない親の増加。すなわち子供のしつけができない親が増えているのだ。昔は、とにかく親たちは「人様に迷惑をかけるな」「人に後ろ指を指されるようなことをするな」という事を厳しく教えた。社会で生きるための最低限度の規範である。しかし、最近の親たちは、我が子をペットのように可愛がり、人間社会で生きていくための「人」として育てることができていない親がいる。
 そして、そのような親に育てられた子どもは、まるで傍若無人に育ってしまう。自然児である。このような子どもは、他の子どもとのトラブルが絶えない。これが二つ目の理由である。
 三つ目の理由は、そのような子どもたちを指導する学校の教師たちが委縮しているという事だ。少子化の家庭で子ども集団を経験していない状況で、初めてと言っていい集団での生活を経験する自然児に近い子どもたちに必要なことは、しつけである。そのしつけができない状況が教師にあるのだ。それは、しつけをしようものなら、親がクレームを言ってくるからだ。モンスターペアレンツほどではなくても、教師に対して理不尽な要求を突き付けてくるからだ。当然教師は委縮する。

 学校が子どものしつけを十分にできない状況は、学校教育の崩壊に結び付く。価値観の多様化では済まされない状況だ。他人に迷惑をかけて良い、自分の事が最優先、叶えられなければ暴力を振るって良いなどという価値観は、集団で生活する人間社会では通用しないのだ。
 この事態に危機感をもっと持つべきだろう。


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