吉村知事が、府立高校の「高校生に投資する」宣言をした。試験的に行った教室の改装が、生徒に好評だったことに気を良くしたのか、「トイレの洋式化は来年度で完了。空調、電子黒板、生徒個人PC(保護者負担なし)、全府立高短期留学、全校海外姉妹校提携、どんどんやる」と宣言した。
そりゃ、生徒に好評だと思う。それは、府立高校の校舎があまりにもぼろいからだ。試験的に行ったのは、私も管理職で勤めたことがある泉陽高校である。泉陽高校は、戦前の堺市立高等女学校を創立としており、あの与謝野晶子の母校である伝統校である。同じく伝統校である三国ヶ丘高校は、SSHやGLHS(グローバルリーダーハイスクール)に指定されており、同じ府立高校でもこれだけ違うのかと思わせる校舎だった。
私が赴任した時も廊下や教室の床のタイルは剥がれているし、黒板も傷が多い状態であった。当時の校長は、「優秀な生徒が学習するのに、こんな状況で良いのか!」と憤っていたことを覚えている。校舎も建て増しに次ぐ建て増しで、継ぎはぎのような校舎だった。こんな状況だから、教室を改修してもらって雰囲気が変わるだけで、生徒が喜ぶのは当然である。
今まで府立高校に投資をしなさ過ぎたのだ。橋下府政以降だ。府立高校に勤めた者からしたら、「偉そうに言うな!今までどれだけ、ほったらかしにしてきたんだ!」というのが本音だ。教室に空調はあっても、特別教室に空調が今でも無い学校も多い。体育館も空調が無かった。
さらに言わせてもらおう。府立高校の魅力は、海外研修や姉妹提携ではない。こんなことは、どこの私学でもやっている。東京の人とこの話題をした時、「ふん!」と鼻で笑われた。そんなものである。私立高校は、探究学習を初めとして、もっと尖った教育を行っている。
どうせ投資をするなら、意味のある投資をしてほしい。というか、これだけの事しか案として出てこないのは、大阪府教育庁の政策能力もこの程度だという事だろう。

コメントを残す