NHKの国際報道で、タイに日本の特別活動がTOKKATSUという名称で導入されていると9月29日に報道された。子どもたちは、日本の学校では日常的な風景である教室の掃除、給食当番、生徒会活動が行っている。一体どういう事だろうか?
なぜタイの学校にTOKKATSUが導入されることになったのか。それは、タイの社会に汚職が蔓延っているからという事らしい。タイの社会では、「汚職が無くなれば、道路が金になる」と言われるぐらい、汚職に金が流れているらしい。これだけ汚職が蔓延るのは、法を守るという意識の希薄さ、秩序の悪さにあるという。道路にはごみが散乱し、交通違反は日常茶飯事、捕まっても賄賂を渡せば許されるというのだ。これでは、汚職はなくならない。
そこで汚職防止に関わる委員会が導入したのが、日本の特別活動という事なのだ。それまで用務員さんが掃除していた教室を自分たちで掃除し、学校スタッフが給仕していた給食を上級生が行う。学校の問題を生徒会で話し合うというのだ。映像では、低学年がごみの分別をしない問題が取り上げられ、「上級生が低学年と一緒にゴミ拾いをしましょう」と生徒会で話し合われていた。
導入された学校は、まだまだ実験の段階だが、教室を掃除してきれいになるのは嬉しい等、子どもたちは好意的に受け止めているし、変化も生まれている。小学校5年生の児童は、家では家事手伝いをしなかったのが、姉と一緒にするようになったし、家の前を掃除するようになったというのだ。その生徒曰く、「日本では、きれいに掃除されている」のだそうだ。
この放送を聞いていて、少し恥ずかしくなった。TOKKATSUの先進国で果たして汚職は無くなったのか。そんなことはない。自民党の「政治とカネ」の問題は、未解決だ。「便宜を図る」という言葉があるように、身内を有利に配慮するという事も良くある話だ。決して、TOKKATSUが大きな成果をもたらしているわけではない。それでも、海外に比べて、日本は秩序が良く、清潔であると言われている。何も言わなくても日本人は整然と列に並ぶ。横入りするような者は、ほとんど見かけない。道徳心というものが、育っているのだろう。
私は、10年ほど前にタイに教育視察に出かけたことがある。大学院の授業の一環だった。その時感じたのは、英語教育の先進性であり、進むICT化であり、中国の影響だった。そのことから考えると、今回のTOKKATSUの導入は、とても新しく感じる。TOKKATSUの導入により、タイの汚職が減り、秩序ある清潔な国になってくれたらと願う。長期的なプランだが。

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