校長の指示で成績改ざん

,

 9月23日の読売新聞に「成績改ざん校長指示」という記事が掲載されていた。成績を説明する三者懇談会を翌日に控えた7月9日、音楽担当教員がつけた成績を見た担任が、テストと成績の違いに疑問を感じ、「これでは保護者に説明しづらい。対応が困る」と校長に相談。校長は音楽担当教員に電話したが、夜だったため協議できず、「変えるよ」とだけ言い、担任に改ざんを指示したという事案だ。

 なぜ担任らは校長に相談したかというと、「筆記テストの結果と成績に差があり、生徒や保護者に説明しにくい」というのが理由らしい。そもそも、この考えがおかしい。音楽は実技教科である。音楽の教師も筆記テストや実技、出席回数などを基に成績をつけていたという。問題は、座学中心の科目と実技中心の科目では、筆記テストのウェイトが違うのだ。このことを担任団は理解していない。確かに、生徒の手元には筆記試験の結果があるだろう。筆記試験で高得点を取ったからといって、5段階の5の成績が着くかどうかは、実技試験の結果によるのではないか。
 ただ、実技試験も入れた成績が恣意的であったのなら話は別だが、記事を読む限り、「筆記試験と成績の違い」をもって、校長に相談しているのは、いただけない。

 校長もなぜ音楽担当教員に説明の機会を与えなかったのだろう。朝日新聞の記事によると、三者懇談の前日の夜に相談を受けたという。中々難しい判断を迫られる時間だが、少なくとも音楽担当教員の了解を得ずに成績を変更するのは、誤った判断だ。担任団と校長、校長と音楽担当教員の間にどんな協議があったかはわからないが、音楽担当教員が担任団に対して説明責任を果たす機会が間に合わないなら、音楽の成績はペンディングにすべきだろう。生徒や保護者に対しては恥ずかしい話だが、公平で公正な成績を保護者と生徒に開示するならそれしかない。

 それにしても、担任団も担任団である。三者懇談の前日の夜に、こんな相談を校長にしてどうするのだと言いたい。疑問に思うのなら、もっと早くに相談すべきだ。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

PAGE TOP