面白い記事を見つけた。AERAのデジタル記事である。なんと、あの中核派全学連委員長に初めて女子学生が就任したという。記事を読んでいると、
警察庁によれば中核派の構成員は約4700人。中核派全学連は、中核派の下部組織の位置づけだ。現在、全国の大学に約100人いて、うち約3割は女性だという。今年はすでに全学連だけで13人の逮捕者を出し、うち1人が起訴されている(8月現在)。
とあるではないか。このブログを読んでいる人は、「中核派」で通じると思うが、あえて言うと、「革命的共産主義者同盟全国委員会」の事である。新左翼の主要三過激派の一つで、「マルクスやレーニンの革命理論をもとに、暴力によるプロレタリア革命で共産主義体制の実現を目指す。」と記事に紹介されているが、実は、トロツキーの世界革命理論を柱にしていると言った方が良いかもしれない。マルクスを正確に読んだら、中核派のようにはならないし、半ばクーデターのように権力を奪取したレーニンの理論(特に「共産主義における『左翼』小児病」)を読んでも、中核派のようにならない。
という批判は、マルクスやレーニンの名誉のために、まずはしておくとして、興味を惹かれたのは、中核派全学連の3割は女性だという事だ。何人か中核派全学連に加入した女性が紹介されているので、その生い立ちや加入のきっかけを読んでほしい。
共通して思うことは、社会矛盾に関する問題意識であろう。戦争と平和の問題、女性差別の問題、など、社会矛盾に悶々とする中で、一体何が問題なのかを的確(というよりも、単純な図式化)にしてきた中核派全学連の主張に出会うことで、ある意味「目から鱗」状態になったのではないかと思う。
社会問題に目を向けることは良いことだが、それがいきなり、石破政権打倒、アメリカ帝国主義打倒、暴力革命支持は、行き過ぎだろう。レーニンが、権力を奪取した11月革命でボルシェビキが武装ほう起したのも、社会の矛盾が沸騰し、圧倒的に反政府の動きが全ロシア的にあったからである。このことを中核派全学連は無視しているのだ。これもAgencyの一つの形だろうが、法を無視するような暴力革命やテロリズムでは、多数の支持は得られない。いびつな形で結実してしまったAgencyといえる。OECDEducation2030では、Agencyとともに、共同Agencyも提唱している。協同で創造する力だ。中核派のように少数精鋭に走ってしまっては、社会変革もあったものではない。
それにしても、私たちの世代では、中核派といえば、同じ左翼集団の革マル派との内ゲバを繰り返した暴力・殺人者集団というイメージがこびりついている。しかし、今のZ世代の若者にとっては、実際に社会変革を起こすための「唯一」の集団のように見えるのかもしれない。私は、全共闘世代の次に位置する「シラケ世代」に位置していたが、大学に入学すると、様々な学生運動の余波がまだ校内にあった。社会問題に目覚めた若者が、極左集団に参加していくことは、果たして良いことなのだろうか。健全な社会変革運動がほぼ見当たらない、この日本の不幸が彼ら彼女らを中核派全学連に追いやっているようにも思う。
学生時代に、中核派全学連に参加した彼らが、その矛盾に気付き、さらに学習を積み重ね、まっとうな社会変革運動に発展していくことを望みたい。
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