指導は妥当か?!


 8月4日のMBSニュース(TBS系)で、こんなニュースがあった。大阪府立堺東高校の野球部員が授業中にスマートフォンを触っていたことに対して、野球部の顧問が、「今後、野球部に関わるな」と言い、1カ月間練習にも試合にも出ることができず、退部を余儀なくされたという事案である。

 この指導に納得のいかない保護者が、この教員について指導の一時停止や第三者機関による調査を大阪府教育委員会などに求めたが、聞き入れられずに「顧問への給与は不当な公金支出にあたる」として住民監査請求を行ったというのである。

 ニュース映像は、下記のリンクを見てほしいのだが、ビックリするのは、保護者も顔出し、校名も実名報道である。これはあくまでも私見だが、保護者はこの指導に対して、相当な怒りを持っていると思われる。教員に対する給与が不当な公金支出に当たるという住民監査請求を、私は今まで聞いたことがない。

 事態がいきなりここまで深刻化することはないだろう。最初は、学校との協議から始まったと思うが、ニュースでは学校との話は一切触れられていなかった。記者会見で、保護者が述べていたと思うのだが、この部分は削除されているかもしれない。そして、大阪府教育委員会に第三者委員会の調査などを申し入れたらしいが、聞き入れられなかった。という事は、大阪府教育委員会の見解としては、「この指導は、行き過ぎではなく妥当」と判断したという事になる。本当に妥当だろうか?

 授業中にスマートフォンに触れることは、今の高校生では十分に起こりうる。その程度がどれほどだったのか、何回も指導されているのに止めなかったのか、指導に対して反抗的な態度を取ったのか、などは一切わからない。しかし、たとえそういう態度があったとしても、スマートフォンを触ったことに対する指導として、指導するならば授業妨害とか指導拒否という内容になり、その指導をするのも学年主任・生徒指導部長などが初期の段階で考えられ、悪質な場合は保護者同伴の校長訓告が考えられる。だから、「スマートフォンを授業中に触ったこと」と「野球部に関わらないこと」は関係ない。指導の方向性が間違っているように思う。

 指導に当たった教員は、野球部の顧問だ。もしかして、野球部員はかくあるべきという考えの下(例えば、「堺東高校生の模範となるべき」等)、こういう指導になったのかもしれない。が、この考えの背景には高野連の精神主義がプンプン匂うのだ。高野連には、「高校球児は、かくあるべき」という信念のようなものがあり、問題を起こした野球部に対する指導を学校がすでに課しているにも関わらず、学校を超えて高野連が指導してくる。校長が持つ懲戒権を侵害しているともいえるのだ。この顧問にも同じような思考方法があったために、学校の指導を超えて、「野球部に関わるな」という事を言ったのではないか。それとも、堺東高校では、スマートフォンを授業中に触ってしまった生徒は、部活動に関わらせないというような方針があるのだろうか。そんな変な方針があるわけがない。

 この生徒は、高校3年生である。高校生活最後の夏の大会を控え、このようなことで野球に関わることができなくなったことは、本当に悔しいだろう。おそらく、公立高校の中ではかなり強豪である堺東高校の野球部で野球をしたくて入学してきたのだろう。その夢を絶たれてしまった悔しさは相当なものだと想像する。保護者の怒りも尤もだ。

 学校は、この野球部顧問の指導について「パワハラではない」という見解を出している。どういう理由でパワハラではないのだろう。顧問の立場や思考方法に立ったとしても「1か月、野球部に関わるな」は度を越している。反省する期間として、それだけの長い期間が必要なのだろうか。私なら反省文の提出程度で済ます。きつい指導をしたとしても1週間程度の練習禁止だろう。この顧問の示した指導が、パワハラではないという理由がわからない。

https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/2088845?display=1


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