7月30日の教育新聞のネット記事に「【先生の特命取材班】自校のいじめ防止基本方針 知っていますか?」という内容が掲載されていた。読んでみると、確かに自校のいじめ防止基本方針を知っている教員はどれだけいるのだろうと思う。
記事には、この問題についての第一人者である東京理科大の八並光俊名誉教授のインタビュー記事が掲載されていた。八並教授は、長野県茅野市の取組に注目してほしいというのである。記者は、茅野市の校長の研修会に特別に参加させてもらった。その研修会で、ある報告がなされていた。記事を引用する。
・午前7時40分 「登校中の児童数人がふざけ合っているだけかもしれないが、泣いている子もいる。心配だ」と住民から学校に通報。
・同8時 校長や教頭を交えて、いじめ対策委員会を開催。
・同8時20分 市教委に報告。
・午後1時20分 関係児童が明らかになり、それぞれより事情を聞く。子どもたちが「謝りたい」ということになり謝罪。
・同4時 担任から各保護者に連絡。
記者もその対応の早さに驚いている。確かに早い。しかし、いじめ対策委員会を開くかどうかは別にして、私も中学校の校長をしている時に、この程度の対応の早さは経験している。問題は、いじめ対策委員会を開く必要があるのかということだ。
例えば、この事例の地域住民からの通報があったとして、その事象がいじめなのかどうかは判然としない。まずは、事実確認を行うことが重要であろう。そのためには、生徒指導部(係)や担任などが中心になり、聞き取り調査を行えばよいわけである。生徒指導部長に一報が入れば、同じように動いていたのは、中学校でも高校でも同じだ。聞き取り調査を終えて、「これはいじめ案件かもしれない」という疑義が生じた上で、生徒指導担当の動きを「いじめ対策委員会」へと切り替えて対応するのが良いのではないか。教育委員会への報告についても、8時に会議を開いて、事実確認もなされていない段階で報告されている。報告された方も、まだ事実確認も終わっていない事案について、「報告されてもなぁ…」とはならないのだろうか。
早ければよいというものではないだろう。まずは事実の確認をきちんとすることが大切ではないかと思うのだが、如何なものだろうか?大阪の経験からすると、茅野市のように教育委員会に報告すると、大阪府教育庁高等学校課生徒指導グループから、「まずは事実を確認してください」と指導を受けそうだ。
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