本校に、ある中高併設学校からの転学希望者があった。高校3年生である。通信制高校は3年間の在籍、74単位以上の履修が卒業の基本であるため、前籍校でどの教科・科目を何単位履修・修得したかについては、厳密に引き継ぐことが求められる。そこで、この転学希望者にも書類を提出してもらった。書類を点検すると、高校1年生の時の数学の履修・修得が数学Ⅱ・数学Bとなっている。高校の必修である数学Ⅰの履修・修得が記述されていないのである。おそらく、併設されている中学校で履修・修得されているのだろうと想像するが、それにしても、外部に出す書類に履修・修得が明記されていないのは、どういう事だろうと、本校の管理職が、その中高併設校に電話で問い合わせた。
応対したのは、教頭である。こちらから「数学Ⅰの記載がないのですが、どのような状況ですか?」と問い合わせたところ、高飛車に「中学校で履修していますが、何が問題ですか?」という対応だ。「書類に記載されていないので、お尋ねしたのですが・・・」と言うと、「今までそんなことは言われたことがない」というようなつっけんどんな対応である。こちらとしても数学Ⅰの履修・修得が確認できれば良いといえば良いので、「わかりました」と返事をしていたが、そのやり取りを聞いていて、元府立高校の校長を務めた者としては、どうも納得いかない。
納得いかない点は2点である。1点目。学校内部では中学校からの進学者が数学Ⅰを履修・修得しているのはそれでよい。しかし、外部に履修・修得の書類を提出する場合は、きちんと履修・修得していることを明記しなければならない。特に数学Ⅰは高校の学習指導要領の必修科目である。大学進学の際にも同じ書類を提出しているとすれば、受け取った大学側が精査すれば、「?????」が付くだろう。この調査書に「※印の科目については、併設中学校で履修済み」というような記載があれば問題ない。それもないのは、外部に出す書類としては、不完全であるように思うのだが、どうだろう。このような注釈が無くても許されるのだろうか。
2点目。教頭の対応である。別に高飛車なのが問題なのではない。「いままでそんなことを言われたことがない」という対応が問題なのだ。今まで言われていなかったから問題はないというのは、教頭の姿勢としては良くない。管理職としての対応ではない。教頭は、学校の運営が法令に基づいて支障なく行われていることの番人でなければならないし、外部からの問題提起があり、自分で判断できない場合は、校長にお伺いを立てなければならない。おそらくこの記載の問題については、教育庁の高等学校課が最終判断する問題だろう。そのような問題を、「今まで言われたことがない」と言い、「一体何が問題か?!」というのは如何なものかと思う。
このような問題提起があれば、書類の欄外にでも前述の注釈を記載しますというのが、学校としての対応だと思うのだがどうだろう。
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