7月20日、参議院選挙の投票日、朝7時30分からの「日曜報道プライム」で、教師の生徒へのわいせつ行為問題が取り上げられていた。教育関係の方ならご覧になられた方も多いだろうと推察する。この問題に教育評論家の尾木氏が出演していた。司会者にこの問題の背景を問われたときに、教員不足問題があると答えたのは良かった。良かったという意味は、教育評論家ならば必ず言及しなければならないことであり、国民にこの問題を知ってもらうという意味で良かったのである。
この番組では、放送中に視聴者アンケートを実施するのが常だ。今回は珍しく二つのアンケートを実施した。一つ目は、学校に防犯カメラを設置することの是非である。なんと、76%の視聴者が賛成を示した。この数値に尾木氏もびっくりしていた。尾木氏は過半数程度と踏んでいたようだ。私もそのように考えていた。というのも、防犯カメラの設置は、児童・生徒のプライバシーの問題に関わるからだ。だから、かなりハードルが高いと思っていた。しかし、76%が賛成しているということは、この問題に関する教師不信、学校不信がかなり深刻であることを物語っている。すでに塾などでは設置しているところもあり、学校でもこれから設置が求められることになるだろうし、わいせつ行為への抑止力も高いだろう。
問題は運用である。児童生徒のプライバシーはもちろん、教職員のプライバシーにも関わることだからである。映像の閲覧・管理には慎重の上にも慎重にならなければならないだろう。この点、文科省でガイドラインを示す必要があるのではないかと思うが、如何だろう。
もう一つのアンケートは、現在準備が進められている日本版DBSに関するものである。日本版DBSはイギリスのDBSをモデルしているが、イギリスのそれよりも若干緩めに作られている。対象範囲もイギリスに比べて狭い。そこで番組では、日本版DBSの対象範囲を広げるべきかどうかを問うた。そうすると、90%の人が「広げるべき」と回答したのである。まだ実施されていない段階の日本版DBSであるが、運用早々から見直しが求められる可能性もある。しかしながら、児童・生徒わいせつ防止法でさえ活用が不十分な実態が明らかになった現段階では、まずは運用を徹底するということが重要ではないかと思う。
とにかく、教師への不信、学校への不信は相当なものである。ただ、番組でも言われていたが、「学校に〇〇しなさい」というのはもう限界なのである。このわいせつ事案の背景にある「学校のブラック化」「教員不足」という問題を改善しない限り、児童・生徒に性欲嗜好をもつ大人が学校現場に入ってくるのだ。
そう考えると、通常国会で給特法の改正、教員不足解決の議論がなされたが、今一度議論を再開する必要があるのではないか。文科省の提案、国会での議論と学校現場の意識にはかなりのずれが生じていると思うのだ。
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