7月9日の読売新聞の解説欄に、「教員確保『給与と働き方』両輪」というタイトルで、給特法の改正についての記事が掲載されていた。その冒頭に、以下の記述がある。
「教員には『残業代』の代わりに、基本給の4%にあたる『教職調整額』が支払われている。自発的な授業準備や教材研究は職務か否かの線引きが難しいほか、管理職の残業命令を待たず柔軟に子どもに対応しなければならない場面があるからだ。」
とある。記事には、一切記載されていないが、私立学校法人と国立行政法人である大学の附属学校は、労働基準法が適応される。私立学校や国立大学附属学校の教員の業務と、公立学校の教員の業務に本質的な違いがあると思っているのだろうか。いずれも授業準備や教材研究はやらなければならないし、子どもへの柔軟な対応も行わなければならないのだ。労働基準局が、「授業準備や教材研究、子どもへの柔軟な対応」は労働と認定しているのは、周知の事実である。なぜ、公立学校の教員には、「自発的な・・・」という話になるか、報道機関なら、この点について言及すべきだろう。
さらに、この法律改正が教員不足の解消も目的としていると記載されている。確かに政府―文科省には、そういう思惑があるのは確かだが、教員不足解消のポイントがずれている。給料をあげて解決する問題ではなく、学校現場の「ブラック化」を解消することが重要なのだ。記事にも地方自治体ごとの財政力の問題や、そもそも過疎地域の人材不足が取り上げられているが、政府‐文科省が教員定数を大幅に見直しをすれば、全国一律の「ブラック化」の解消につながるのだ。この点についても読売新聞は言及していない。
このような解説記事を掲載するなら、法律の問題点、政府‐文科省の姿勢にも言及すべきだろう。読売新聞は、政府御用新聞に成り下がっている。前からその傾向があったが、最近ますますその傾向が強い。これでは、言論界のイニシアティブは取れないだろう。
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