注目の裁判だ!


 7月6日の読売新聞の33面に、「児童羽交い絞め 暴行罪か」という見出しで学校の懲戒権に関わる裁判の記事が掲載されていた。男児を注意しようと腕をつかんで押さえたが、暴れたために羽交い絞めにしたというという男性教諭の行為が、懲戒権の範囲かどうか、正当防衛にあたるかが主な争点である。なかなか微妙な裁判であり、判決次第で学校現場の指導に大きな影響をもたらすだろう。

 検察側の主張は、記事によると
①男児がいたがっていたこと
②大きな体力格差があったこと
③羽交い絞めは過度な有形力の行使で、懲戒権を逸脱している
④被害者への積極的な加害意志が認められるとして正当防衛も否定
というものだ。これに対して、教諭側が、
①男児を落ち着かせて指導するための正当な行為
②暴れる児童から身を守る必要もあった
という主張で、真っ向から対立している。

 裁判所の判断のポイントはどこだろう。事件が起こった当時、この男児がどこまで暴れ、静止させるのにどれだけの労力がかかったのかというところが問題だ。例えば、通常指導に従わない児童・生徒がいた場合、口頭で注意し、指導に従うように促す。しかし、指導に従わない場合、教員の身体を近づけることにより児童・生徒の行動範囲を狭め、静止するように促す。それでも児童・生徒の行動が治まらなければ、手を持つ、身体を抱きかかえるなどして、行動を制止するしかない。私は、ここまでの行為は懲戒権の範囲だと思っている。

 今回の事件で私が注目したいのは、
(1)男児に対して段階的な抑止行動(指導)があったのか
(2)羽交い絞めをすること以外に、男子を抑止し落ち着かせることができなかったのか
という点である。

判決は、7月11日に出されるらしい。注目したいと思う。


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