文科省は4日、学習指導要領の改定を議論する中央教育審議会の特別部会で、小中高校の学習評価の観点を見直す方針を示した。「主体性」について比重を小さくし、「思考・判断・表現」の評価と一体的に評価する方向に転換した。妥当な判断だ。
もともと、「知識・技能」「思考・判断・表現・「学びに向かう主体性」の3観点の評価が始まってから、この「主体性」をどのように評価するかについては、かなりの議論があったし、現場は混乱した。「主体性」を客観的に評価する指標が乏しいからだ。小学校などでは、挙手の回数や宿題の提出状況などが評価の基準になってしまう。客観的な材料となると、それぐらいしかないのである。私の知っている取組としては、学校が導入したAIツールの取組状況を「主体性」の評価の材料としている実践があった。まだこの実践は、よく考えられていると思ったぐらいだ。
「思考・判断・表現」の評価が高い児童・生徒は、それだけ深い学びをしている可能性が高い。ゆえに学習への取組も熱心である。この「思考」の点数を別の観点から「主体性」の評価にする取組もあった。そうすると、評価の「バブル化」が起こるのだ。実際の学習の実力よりも評定が高くなる傾向がある。中学校では、高校進学の材料となる学習評定であるため、進路指導にも支障をきたすことになるのだ。特に、学習の内申と当日の入試とを5:5としている自治体では、大きな影響をもたらすだろう。このような評価のあいまいさや「バブル化」を防止するうえでも、今回の中教審特別会での議論は歓迎したい。
やっと学習評価の正常化がなされる。学校現場がずっと言ってきたことだ。
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