リアリズムに欠ける内閣不信任案!


 会期末を迎えて、岸田総理は早々に「今国会での解散はしない」と明言した。それを受けて、立憲民主党は、内閣不信任案を提出したが、予定通り否決された。それも野党の日本維新の会や国民民主党にまで反対されて。泉代表は、この対応に切れたようだ。不信任案提出を「年中行事」と、揶揄した維新に対して「そういった政党は国会冒頭の代表質問も止めたらいい。他の法案の採決も止めたらいい。議員立法を出すのも止めたらいい。民主主義を理解していない」と逆ギレぎみに反論したらしい。逆に聞きたい。何のために内閣不信任案を提出したのか?解散が首相の伝家の宝刀なら、内閣不信任案も野党の乾坤一擲の勝負ではないかと思う。今提出しても、たとえ野党が賛成しても、否決されることは目に見えているし、野党が提案したからと言って、解散総選挙まで行く流れも消滅していた。まさに、日本維新の会の「年中行事」批判は全く的外れである。この泉代表の逆切れ批判は、何も的を得ていない。代表質問や法案採決は極めて重要な国会の機能である。しかし、内閣不信任案を出すか出さないかは、その時の政治情勢、政局によって提出の有無は左右される。昔、内閣不信任案が出されたとき、自民党内の派閥争いで棄権議員が相次ぎ、誰も予想しなかった不信任案が成立したことがあった。それほど、政局が緊迫していたのである。この不信任案が、緊迫した政局に最後の一矢を放ったのである。私はまだ、子どもだったので詳しいことは記憶していないが、それでも大人たち(マスコミも)が騒いでいるので、「とてつもないことが起きた」ということを覚えている。
 立憲民主党、なかなか支持率が挽回しない。おそらく、党内の「左ばね」の影響が強いのだろう。だから、なぜ不信任案を出さないのかという突き上げも大きいのだろうが、これは万年野党の流れをくむ旧社会党の発想である。これでは、支持率は回復しない。党内でイノベーションを起こさなければ支持は得られないだろう。日本維新の会は、大阪都構想に負けて看板政策が無くなった。橋下氏に続き松井氏も引退し、第2世代、第3世代が党の中心メンバーとなっている。大阪地方議員vs国会議員などの報道もあるが、この地方選は勝利した。看板政策を失っても、党は瓦解しなかった。現れては消える第3勢力の中で、唯一生き残っているかつ伸長している政党と言えるのではないか。何が立憲民主党と違うか。明らかに、日本維新の会の方が、政策にリアリズムがある。国民も馬鹿ではない。これだけ揺れ動く国際情勢、少子高齢化、物価高、など課題山積の中で、リアリズムを感じられる政策を立憲民主党が持ち得ていないと、国民は感じている。それが、日本維新の会との違いだと思う。日本維新の会の馬場代表が、「野党第一党をめざす」と言ったのもリアリズムからの目標である。納得感がある。
 もう一つ違うのは、足腰だろう。地方自治体で地方議員がどれだけいるのか、ここも大きな違いである。ある意味、日本維新の会は、自民党から学んでいる。自民党がいったん下野しても、すぐに政権復帰できるのは、党を支える全国的な地方議員がいるのからである。立憲民主党をはじめ、他の野党はどうなのか?地方議員はどこまでいるのか?地方議員を増やすためには、本当に住民と密着した政党になる必要あり、まさに政党が出す政策のリアリズムが求められるのである。もう、昔の冷戦時代のように理屈だけの空中戦の論戦をやっている時代ではない。そんなことをやっている党は、到底支持を得られない。政策のリアリズムの追求、これこそが国民の求めるものであり、政党間で切磋琢磨すべきことだろう。


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