子どものSNS規制

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 5月7日の読売新聞の論点スペシャルに、小中学生のSNS規制の問題が取り上げられていた。意見を述べているのは、東北大学の川島教授、千葉大学の藤川教授、臨床心理士の森山氏である。子どものSNS利用についての基本的スタンスは、以下の通り
川島氏・・・法的規制による全面的禁止
藤川氏・・・禁止せずフィルタリングを利用
森山氏・・・一部(時間や時間帯)禁止
である。
 
 この問題は、なかなか難しい。ご存じのように、オーストラリアで16歳未満の子どものSNS利用を禁止する法案が可決してから、様々な議論が出ている。今回の3人の主張を読んでいて、一番説得力があったのは川島氏の主張だ。彼は、実験・調査を行い、様々なエビデンスを提示している。その上で、如何にスマホやSNS、インターネットというものが中毒性を持っているかを論じている。
 一方、藤川氏の主張は、「子どもの権利条約」という理念からスタートしており、現実の問題に対してどのような対処をするべきかという議論にはなっていない。そういう意味で言えば、主張が観念的であるがゆえに弱いと言えるだろう。川島氏のように、SNSなどに中毒性があるならば、酒・たばこと同じように青少年には禁止すべきという論も成り立つのではないか。

 ただ、懸念されるのは、オーストラリアのように16歳まで禁止して、17歳から利用できる場合、16歳と17歳で何が違うのかという事になる。大学生になって、酒を一気飲みして救急車で搬送されることが起こっているように、年齢に達したからと言って、正しい接し方を知らなければ、同じ過ちを繰り返してしまうのも確かなのだ。

 この問題は、学校に依拠するのではなく、第一には家庭教育を充実させるべきだろう。学校で授業中にSNSを利用することはまずない(と思いたい)。一番の利用時間は、家庭である。法律で規制することで、親の指導力を強めるという意味でも法的規制が求められるとともに、情報リテラシー、情報モラルというものを学ぶことが重要だ。学校はすでに実施している。家庭での教育が重要となるだろう。


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