立川市の小学校乱入事件

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 5月8日に、東京都立川市の小学校に男二人が乱入して、教職員5人にけがをさせた上、教室や職員室で暴れ、職員室の窓ガラスを割るなどした。このニュースの一報が入ったときは、全くの外部の人間による子どもたちを対象にした無差別の事件と思ったが、実はそうではないという事が続報で判明した。事件の流れはこんな感じである。

子ども同士がトラブルを起こす
→一方の子どもの母親がトラブルを巡って担任と相談
→担任との話し合いがうまくいかず、母親がいったん帰宅
→母親が知り合いの40代の男に連絡
→母親、40代、20代の男が再度来校
→男二人が2年1組の教室に乱入。授業をしていた担任に暴行
→職員室でも男たちは暴行を働き、教職員に取り押さえられる
→警察に通報し、逮捕

ニュースを見ていると大体このような流れのようだ。
 この事件には、二つの重要なことがある。一つは、なぜ外部の侵入を許すようなことになったのかという事だ。大阪府の小中学校では、あの大教大付属池田小学校の事件があって以降、セキュリティはかなり強化されている。中学校に学校訪問に行っても、学校に入ることができる出入り口は一つである。その出入り口もインターホンで来校を告げて、職員室の許可を得て、職員室からの遠隔操作で門が開くという事になっている。不審者の侵入を防ぐためだ。
 ところが、この立川市の小学校では、出入り口が5か所あり、常時出入りできるのは2か所あるというのである。これでは、不審者の侵入を防ぐことはできない。教育委員会のコメントでは、「遅れてくる子どもや早退する子どものため」と言うが、大阪方式にすれば定時以外に登下校する子どもたちにも十分対応できる。ただ、大阪方式でも今回の件は、防ぐことができなかっただろう。なぜなら、男達を学校に侵入させたのは、保護者だからだ。インターホンで、「〇〇の保護者です」と名乗られ、インターホンに保護者が映っていたら、拒否できない。男達がカメラから身を隠していたならなおさらだ。
 そうすればこのような事件をどのようにして防げばよいか。出入り口を一か所にして、そこにガードマン(警察官の方が良い)を配置するしかない。それなら、保護者に連れられた不審者たちもすぐには校内に侵入することはできないだろうし、教職員も危険を察知して校門に駆けつけることができるし、警察への連絡も可能だ。余談だが、国際交流の関係で、シカゴの高校を訪問した時には、玄関に警察官が立っており、持ち物検査をしていた。銃を学校に入れないためだ。

 さて、もう一つの件だ。それは、この母親が相談に来たという子ども同士のトラブルの内容、そして母親が学校に対してどのような要求をしたのかという点だ。この件については、一切報道が無いので想像でしか語ることはできないが、おそらく無理難題を押し付けたのではないかと想像される。もし、この時点で母親が今回の件のように暴力に訴える可能性が予見されるような言動をしていたのなら、すぐさま別の対応もできたかもしれない。教育委員会に連絡し、弁護士との相談という事も考えられたかもしれないし、警察に警護依頼という事もあったかもしれない。仮に学校側の対応に瑕疵があったとしても、このような暴力に訴えることは許されることではない。今後、この件についても詳細な報道が待たれる。教育関係者にとって、大いに関心のあることだからだ。

 しかし、どちらにしても前代未聞の事件である。世間的には、「モンスターペアレンツもここまで来たか」と思わせるような事件だ。もうモンスターペアレンツではない。バイオレンスペアレンツである。


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