「紙の教科書」重視

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 4月29日の読売新聞一面に、28日に開催された中教審デジタル教科書推進ワーキンググループの記事が掲載されていた。中間まとめに寄せられた教育関係団体の意見が公表されたようだ。それによると、多くの団体が紙の教科書の重要性を訴え、紙の教科書の継続的な使用を求めたという。この間、中教審の作業部会の議論では、「デジタル教材」を「デジタル教科書」に格上げし、「紙の教科書」との選択制を導入すると意見をまとめていた。さて、どうするのだろう。

 とにかく、中教審は文科省の官僚の考えが通るように、議論が進んでいる。賛否両論のある問題に対して、双方からの意見が反映されるような議論が展開されていない。この「デジタル教科書問題」についても、様々な意見があるのだ。私も何回も指摘しており、大手新聞にも掲載されているように、「デジタル先進国」である北欧がどんどん紙の教科書へ回帰している。国レベルの壮大な社会実験の結果、「紙の教科書」が良いという結論に至ったのだ。そして、多くの教育学者や脳科学者、心理学者が「紙の教科書の方が、学力向上がみられる」と述べているのである。こういう意見が、一向に中教審に反映されない。今回の学校関係者の意見表明で、如何に中教審の議論が現場感覚からずれているのかが明白になった。

 さて、今秋には、最終案を取りまとめるわけであるが、この作業部会でどのような最終案を取りまとめようというのだろう。教科書の問題は、多くの国民に影響をもたらす問題である。一部の推進派の委員ばかりを集めて議論をするのではなく、賛否双方の意見を踏まえて結論を出してほしいものだ。


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