4月25日の文部科学委員会で、給特法の改正についての議論が行われた。その中の議論の論点の一つが、
「国立大学附属学校と私立学校は労働基準法が適用され、公立学校は給特法が適用される。その差は何なのか?」
という事だ。この点について、午後の議論で取り上げられた。立憲民主党の亀井議員が、教員の仕事の特殊性という点で、私立学校の教員と比して、公立学校に教員の特殊性はあるのかという質問をした。これに対して、文科省の初等中等教育局長が次のような答弁をした。
「教師の特殊性は、私立学校の教師であっても、公立学校の教師であっても共通性のあるところであると考えています。一方で、学校の状況をみますと、公立学校については、地域の多様な子どもたちをすべからず受け入れて教育を保証するという役割を担っています。(特別支援学級、不登校生徒数、外国人生徒数の公立学校と私立学校の差を列挙して、)公立学校の教師が、より多様な生徒を教えているため、教員の裁量性はより重要になると考えています。私立学校の教員は、民間労働法制で、保護者と学校の契約の上に成り立っておりますが、公立学校教員は、法律および条令によって成り立っています。私立学校の場合は、任命権者と服務監督者は同一ですが、公立学校の場合は任命権者と服務監督者が違うため、時間外勤務命令を発しないインセンティブが機能しにくいのではないかと考えています」
と長い答弁を行った。同様の答弁を午前の参考人招致で戸ヶ崎教育長も行っている。この答弁はおかしくないかと思うのだ。というのも、この答弁は公立の小中学校には該当するが、公立高校には該当しない。公立高校は、地域の生徒をすべからず受け入れているわけではない。入学したい学校を受験して入学している。私立学校のように希望して入学しているのだ。更に、高校教員は任命権者が都道府県教委であり、服務監督賢者も都道府県教委である。私立学校と同じなのだ。だが、公立高校の教員にも給特法が適応されている。この答弁は、おかしい。質問した亀井議員もこの点を追求しなければならない。
さらに、初等中等局長は、私立と公立の違いについて数値を挙げて説明していたが、不登校、外国人生徒、特別支援が必要な生徒の本質的な支援については、公立学校も私立学校も同じであるし、公立学校の方が、より多様性があり、対応が多岐にわたるのであれば、私立学校よりもさらに待遇を良くしなければならない。しかし、たとえ教職調整額を10%にしたとしても、残業に対する対価には程遠い。残業代が支給される私立学校や国立大学附属学校とは大違いなのである。
結局のところ、給特法の成立の根拠にしたいための教員の裁量性、特殊性を強調し、仕事と仕事ではないことの区別が難しいという事なのだろう。しかし、私の数少ない経験でも国立大学附属の学校に対して労働基準局は、PCのログで労働時間を判定した。その後も十分に労務管理を行えている。私が勤めた附属学校には、発達障がいの生徒や不登校の生徒が、公立学校と同程度に通学していた。労基法と給特法の適応の違いは、一体どこにあるというのだろうか。
コメントを残す