インターネットで合格発表

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 3月21日、大阪府立高校で合格発表が行われた。それもインターネットでの合格発表である。私立学校の合格発表のようだ。読売テレビのニュースでは、府立夕陽丘高校の様子が放送されていた。自宅で合格を確認した生徒が、午後から行われる説明会に登校してくる様子が映っていた。校門から続く校庭の両サイドには、先輩となる高校生が並び、合格してくる受験生に祝福の声をかけていた。このインターネットによる合格発表はとても良いと思う。

 府立高校で働いているとき、合格発表というシーンは、印象深い。合格した生徒の歓喜に満ちた顔、友達同士で喜び合う姿は、受け入れる側としてもとても微笑ましいし、こちらまで嬉しくなる。しかし、その一方で、不合格になった受験生もいたのだ。下を向いて帰っていく受験生、涙を流して保護者に慰められる受験生、友だちと一緒に合格発表を見に来て、友達は合格したのに、自分は不合格、というようなシーンも何度も見てきた。

 一番悲惨というか、こんな高校受験をやってはダメだと思ったのは、定員の一部を前期入試で実施した時だ。受験生の数は、今までと変わりない。しかし、合格する人数が極端に少ないのだ。どんなことが起こったか。通常、合格発表に掲示がされた瞬間、歓声が沸き起こる。しかし、この入試の場合、圧倒的に不合格な受験生が多いのだ。「あーあ」と言って下を向く受験生がどれだけいたか。そして、本当にごく少数、合格者もいる。しかし、合格者は喜びを表現できないのだ。なぜなら、同じ中学から受験している受験生の多くが不合格だから。「やったー」とも言えない。「やっ」で声が止まるってしまうのだ。こんな受験はやっていけないとつくづく思った。

 今回のインターネットでの合格発表、おそらく受験生は自宅で結果を確認したのだろう。以前のように合格・不合格の明暗がその場で別れることは無い。それだけでも15歳の受験生の心のダメージは少なくなったのではないかと思う。

 それにしても、3月22日の地方版に掲載された2次募集の府立高校の多いこと。読売新聞では、3段にわたって掲載されていた。この中で、定員を満たす学校はどれだけあるのだろうか。私立高校にだけ延命策をもたらす高校無償化政策を、はやくまともな制度にしなければならない。まずは、校長会が強く、私立高校との同日入試を訴えなければならないだろう。教育庁からは出てこない。私学課にとっては、私立高校は天下り先だし、教育庁幹部は、知事の方を向くからだ。
 校長会が頑張るしかないのだが、そんな力が果たして校長会に残っているだろうか?私が新任だったころは、ずいぶん力を持っていたと聞いたものだが・・・。


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