大阪公立大教授の西田氏の「薄っぺらい」コメント

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3月21日に産経新聞のネット記事に、「自称進学校私学と予算ない公立が進学実績で競い合うのはナンセンス」という記事が掲載された。大阪公立大学の西田教授のコメントである。
西田教授は、

「予算もなく戦う土俵も整わないまま公立高がそうした私学同様に、進学実績で競い合うことになればナンセンスだ。進学やセーフティーネットなどそれぞれの役割が明確な学校はあるが、大多数の中間層の学校は各校の特色を打ち出すことが難しい。」

と指摘する。教授が述べている「そうした私学」とは、「生徒が自身の高校を『自称進(自称進学校)』と自虐的に称する」私立高校である。教授が指摘するように、確かに中間層の公立高校が特色を打ち出すのは難しい。大阪府も様々な試みをしているが、スクールアイデンティティを変えるまでには至っていない。

 教授は、
「進学実績ありきではなく、生徒にどのような学びや経験を得てどのような力を身に着けさせるのか。学校それぞれの特色を打ち出す必要があり、生徒や保護者も進学実績だけではない学校選びが求められている。また、教育行政も、そうした公立高校の取り組みを可能にする資源配分を行う必要がある。」
と意見を述べている。
支持できるところは、
「また、教育行政も、そうした公立高校の取り組みを可能にする資源配分を行う必要がある。」というところだ。文理学科の進学校を訪問してほしい。校舎が違うのだ。多くの公立学校は、規格通りの校舎の建て方だが、文理学科の進学校は、伝統校であり、校舎も規格外である。同窓会等のバックアップもあれば、そもそも府の予算も違う。西田教授のコメントのこの点については、大阪府の教育行政も参考にしてほしいと思う。
逆に支持できないところがある。
「進学実績ありきではなく、生徒にどのような学びや経験を得てどのような力を身に着けさせるのか。学校それぞれの特色を打ち出す必要があり、生徒や保護者も進学実績だけではない学校選びが求められている。」というところである。

 まず、進学する中学生はどうかわからないが、保護者の学校選びの基準に卒業後の進路実績はmustである。塾や予備校に行かずに大学進学をめざす私立高校か、塾・予備校に行かなければならない公立高校かである。私立高校が無償化された結果、同程度のレベルなら学校の授業を受けつつ、尚且つ塾・予備校にお金を回せる私学を選択するだろう。西田教授の指摘は、机上の空論に過ぎない。これぐらいの事は、誰にでも言える。教育社会学の研究者としては、コメントが薄っぺらい。

 ただ、西田教授の言いたいこともわかる。教育内容で勝負しろという事だろう。確かにそうだ。公立高校が勝負できるのは、教育内容なのだ。私は、主体的・対話的で深い学びの実践と探究学習ではないかと考えている。大学の一般入試で求められる受験学力で「自称ではない進学校」に及ばない学校は、探究学習に力を注ぐことで、「尖った教育」を行うべきだ。そして、大学も一般入試を突破してきた学生だけではなく、大学で学ぶ意欲を強く持つ学生も求めているのだ。

いわゆる「中間層の高校」に求められるのは、まさに「キラリと光る尖った教育」だろう。そこにこそ、展望がある。教育内容で勝負し、尚且つ、進学実績を向上させるというそういう取り組みが求められている。


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