中教審の会議ってこんなもん?

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 2月12日、中教審の初等中等教育分科会デジタル学習基盤特別委員会の第6回が開催された。zoomのウェビナーに参加して傍聴した。というのも、この部会でデジタル教科書の教科書としての導入の議論が行われていたのだ。第6回は、最終の会議だった。最初の1時間ほどは、事務局からの今までのまとめの説明である。デジタル教科書の是非について、どんな報告がなされるか注目したが、何のことは無い。教科書として導入することが前提のような議論だった。資料には、デジタル先進国が「紙へ回帰」していることも記載されていたが、デジタル教科書の是非については、一言も触れられなかった。「中教審の会議ってこんなものか・・・」と思う会議だった。

 巷では、デジタル教科書を巡って様々な議論がなされている。とにかく最大の論点は、デジタル教科書の優位性である。紙の教科書と比べて児童生徒の学力向上が見込めるなら、デジタル教科書への移行も意味がある。ところが、デジタル教科書の先進国では、この優位性が認められなかったのだ。それどころか、子どもの健康への影響、注意散漫、ネット社会での被害など、様々な問題が噴出した。だから、「紙の教科書」に回帰しているのだ。この最大の論点について、この特別部会でどこまで突っ込んだ議論がなされたのだろうかと思う。

 しかし、考えてみれば、このような議論は望むべきもないことだ。というのも、この特別部会の委員は全員がデジタル推進派で固められており、デジタル教科書に対して疑問を投げかけるような委員はいないのである。総括論議で意見を聞いていて、このことを確信した。要は、文科省が進めたい政策について、お墨付きを与える委員を選出して、「議論をした」体を作って、既成事実化するということだろう。こんなことをしていると、教育現場の問題意識とどんどん乖離していく。日本の教育が良くなるはずはないという事がよく分かった。

 それでは、どのようにすればよいか。やはり国会で議論をすべきだろう。文部科学委員会での議論になるのではないか。与党が多数の場合は、何を議論しても政府与党案が覆ることは無かった。しかし、今国会は、少数与党である。野党の賛成が得られなければ法案を成立しないのだ。野党の政策能力が問われることになるが、果たして「教育の党」を自認する政党はあるのだろうか。これもまた心許ない。

 本当にデジタル教科書は導入されるのだろうか。また現場が混乱するように思う。


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