世界に衝撃が走った。オーストラリアが16歳以下のSNS使用を禁止したのだ。施行は1年後というが、なかなか勇気のある決断だ。善悪の判断の付きにくい青少年にSNSの使用を禁止するということだろう。各局もこのニュースを大きく取り上げていた。SNS禁止賛成派には、SNSの被害で子どもを死に追いやられた保護者のコメントが寄せられている。親としては悲痛な思いだろう。SNSを通じた陰湿ないじめ問題は、世界共通の悩みのようである。一方、禁止反対派は、若者のコメントだ。「そんなことをしても、どうせ抜け道がある」などとうそぶく若者もいた。
今や、SNSは社会の重要なコミュニケーションツールである。遅かれ早かれSNSとの出会いはある。問題なのは、情報リテラシー・情報モラルの問題だろう。十分な善悪の判断や情報モラルを身に着けていない状況で、SNSの世界に飛び込むと、刺激的であると同時に、SNSの「影」の部分にすぐに出会ってしまう。また、その「影」の世界は、いきなり過激なのだ。若者にとっては刺激的であるだろうが、その刺激に嵌って中毒になってしまったり、陰湿ないじめに遭ってしまうのだ。疾風怒濤と言われる10代は、人間関係の摩擦の中で成長していく。対面のリアルな関係でも、いじめもあれば、何かに嵌ってしまう「中毒」もある。しかし、そこには対面であるが故の「緩衝材」もあり、あるところまで行くと自然とブレーキがかかるという人間の「理性」と「良心」があるのだ。ところが、SNSはリアルの世界ではないので、この「緩衝材」が働きにくい。ブレーキがかからないので、どんどんエスカレートしたり、泥沼に嵌ってしまうのだ。ここにSNSの恐ろしさが存在する。
今回のこのオーストラリアのSNS禁止に関して、欧米の取組も紹介されていた。アメリカなどは、いち早くSNSに制限をかけている国だというのは意外だ。表現の自由で喧しい国であるにも関わらず、意外にも保護者の同意無くしてアカウントを開設できないなどの措置が取られている。欧州の各国も同様の取り組みをしようとしているが、年齢確認がネックになっているという。年齢をどのように確認するかは、難しい問題であるというのは容易に想像がつく。
最初にも述べたように、SNSは今のインターネット社会では必須のアイテムである。必要なことは、SNS社会を正しく生きていく資質と能力を身に着けることだ。16歳までSNSから「無菌状態」にしても、SNSの世界に入っていくだろう。しかし、日本のように野放しにしてしまうと「SNSの闇」に青少年の命さえ奪われかねない。そういう過激さをSNSは持っている。だから、段階的にSNSに慣れていく、小さい失敗をしながら、情報モラルと情報リテラシーを身に着けていくということができればそれに越したことがないのだ。が、SNSの世界はそんな悠長なことを許してくれない。だから、オーストラリアのようなことも起こるのだ。
そこで、一つの解決策だ。SNSのアカウントを持つことを、免許制度にしてはどうか。免許試験に合格しなければアカウント開設の資格を得られない。その資格を各SNS運営会社に提示することで、初めてアカウントが開設されるのである。車の免許と同じだ。車を社会の中で安全に運転できる技量とモラルを持つために、運転免許というものがある。この免許制度がなければ、危なくて道も歩けない。だから、SNSの世界に入るためには、SNSを安全に使うためにも免許制度を導入するという考えはどうだろう。これは何も若者だけを対象にした話ではない。当然、大人も対象だ。高齢者がいろいろな詐欺に引っかかるのも、SNSが入り口になっている。大人も免許制度の対象になる。免許制度にすることで、情報リテラシーも情報モラルも勉強しなければならないのだ。どうだろう、保護者の許可やオーストラリアの禁止とは違う「第三の案ー免許制度」だ。話題になってくれると嬉しい。
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