学習端末未使用とデジタル教科書

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 10月16日の読売新聞に、教育に関する記事が二本掲載されていた。一つは、学習端末の未使用問題、もう一つはデジタル教科書の問題だ。どちらも教育のDX化に関わる話だ。まずは、学習端末の未使用問題。会計検査院の調査で約95500台のうち、約32800台、3割が未使用だったという。約12億7000万円分らしい。原因は、コロナ禍で奨学金受給世帯の高校生らの需要が伸びるだろうと予測して多めに購入したところ、需要が大きく下回ったというのだ。自治体では、奨学金世帯の高校生らの所有状況を調査しないまま台数を計上したという。こんなことをしていると、また財務省から「何をやっているのだ、文科省は!」と言われるだろう。財務省は文科省に対して、「きちんとエビデンスを示して予算要求しろ」と言う。予算査定を行う財務省としては、当然の事だろう。令和7年度予算で、膨大な予算を文科省は申請している。これに対して、この学習端末未使用問題は、財務省に反撃の材料を与えるようなものだ。もう少し、しっかりしろよ、文科省と思う。

 もう一つのデジタル教科書問題。中教審の部会で小中高の教員4人が報告したという。デジタル教科書の活用事例を報告した上で、「紙の方が使いやすい」という生徒側の意見も報告されている。更に、「ログインに手間がかかる」「通信の遅さ」など、生徒が感じている課題も報告された。教員側からもアカウント管理の煩雑さが報告された。中教審で報告するぐらいだから、積極的にデジタル教科書を活用している教員だろうと推察するが、それでもこれだけの課題が挙げられている。
 これだけ課題が挙げられ、以前からデジタル教科書の学習成果も紙と変わらないと言われているにも関わらず、委員からは「国語のデジタル教科書もできるだけ早く導入すべきだ」という意見が出ている。この委員、おかしいのではないか。まずは課題をどのように解決すべきかを議論すべきだろう。そのために、小中で英語や算数・数学で先行実施したのではないか。とにかく、「デジタル教科書ありき」の委員がいる。ここまで執拗に「デジタル、デジタル」と叫ぶと、何かデジタル業界と癒着しているのではないかとさえ思ってしまう。


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