ビッグニュースが舞い込んできた。日本被団協がノーベル平和賞を受賞した。この受賞、誰が予想しただろうか。正直、驚いた。ノーベル平和賞は、ノルウェー・ノーベル委員会が選考するのだが、その選考は、極めてメッセージ性に富んでいる。人権の抑圧と戦う人たちや、専制主義国家に対して真実を述べようと戦う人、女性の解放のために戦う人たちも受賞している。こう考えると、今回の日本被団協の受賞は、考えさせられることが大きい。ロシアのプーチン大統領における核使用の威嚇発言、中国の核軍拡、北朝鮮の核開発と、核兵器の使用の脅威が増しているのである。この世界情勢に対する明確なメッセージと言えよう。
さて、日本及び日本人である。ヒロシマ・ナガサキに原爆が投下されて、来年で80年になる。この間、「世界唯一の被爆国」として核兵器廃絶の運動を被団協は続けてきたが、私も含め日本人はどこまで真剣にこの核兵器廃絶の運動に関わってきただろう。被爆者の方々も高齢になり、ニュースによれば活動を停止した支部もあるという。もう一度原点に立ち返らなければならない思いだ。
そこで、考えられるのが、核兵器禁止条約の批准だろう。日本政府は「唯一の被爆国」であるにもかかわらず、この条約を批准していない。それどころか、オブザーバー参加もしていない。これは許されないだろう。政府―自民党の「アメリカの核の庇護」というドクトリンにより、核保有国が参加しないこの条約に「政治的意味がない」という姿勢を政府は取っている。この論理と核兵器廃絶を求める運動とは両立しないのだろうか。私は、そんなことは無いと思っている。私も中国や北朝鮮、そしてロシアという核保有国の最前線に位置する日本の国際環境に危惧を感じている。これらの専制主義国家に対して、きちんとした防衛力を持つべきだと思っている。これが現実の政治として必要なことだ。このような防衛力を充実させることと同時に、核兵器禁止の世界的な運動に日本が率先して参加することはできると思っている。どちらか一方の立場でしかないならば、日本は軍事力強化の道を進むか、他国には通用しない憲法9条をお題目のように唱えているしかないのだ。
複雑な国際政治を生き抜く知恵と勇気を持ち、そして「世界唯一の被爆国」の矜持を忘れず、核兵器廃絶を訴え続け、その先頭に立つことが大事だ。今回のノーベル平和賞は、「日本は、核兵器廃絶の先頭を走ってくれ」というメッセージだと思う。
コメントを残す