言うは易し、行うは難し

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 文科省が、9月30日付けで各自治体の教育長だけでなく、知事・指定都市市長も含めて、通達を出した。正式名は、「「『令和の日本型学校教育』を担う質の高い教師の確保のための環境整備に関する総合的な方策について(答申)(令和6年8月27日中央教育審議会)を踏まえた取り組みの徹底などについて」というものである。要は、答申を踏まえて、文科省は、「働き方改革の方針も示したし、予算要求もしているんだ。次は、各自治体、各教育委員会でしっかりやれよ!」と言いたい通知内容だ。
 例えば、
「服務監督教育委員会においては、取組状況の『見える化』とPDCAサイクルの構築、実施に取り組むこと」
「時間外在校等時間が月80時間を超過している教師をゼロにすることを最優先すべきこと」
「全ての教師が月45時間以内となることを目標とすること」
「保護者や地域住民からの過剰な苦情や不当な要求等の学校だけでは解決が難しい事案については、学校管理職経験者等の活用や様々な専門家との連携等により、教育委員会等の行政の責任において対応することができる体制を構築するとともに、学校等の立場に立った代理人として対応することを含め、首長部局とも連携しながら、スクールロイヤーや地方公共団体の顧問弁護士等をより一層活用した法務相談体制の整備・充実に取り組むこと。」
「11時間を目安とする『勤務間インターバル』の取組を進めること。その際、上限指針での業務の持ち帰りは行わないことが原則であることを十分に踏まえること。」

等が記載されている。言うのは簡単だ。しかし、実践するには困難が伴う内容ばかりだ。全体として、学校における校長のリーダーシップやマネジメントが強調されており、そんな能力と資質を持った校長がどれだけいるのだろうと思う。

 さらに、文科省が自慢している令和7年度予算請求に関することだ。メインは、教職調整手当13%への引き上げや各種手当の増設・改善・引き上げである。10月1日に石破政権が発足した。石破氏は、財政規律をめざす緊縮財政派だ。この概算請求がどこまで認められるか不透明である。もし認められないものが多くあれば、教育委員会も学校も徒手空拳で学校改革に臨まなければならない。有り得ない話だろう。
 今後、学校の働き方改革を進めるには、石破政権の早期の退陣が求められる。毎日新聞が9月の末に行った調査では、石破総裁の選出には、52%の支持があり、自民党の支持も4ポイント上昇したらしい。しかし、マーケットは正直に反応しており、株価がかなり下がった。また、総理大臣就任から戦後最短の解散・総選挙に対し、野党は反発している。今まで、与党内野党の位置で、筋を通す論を吐いてきた石破氏からすると、その豹変ぶりが鮮明に出てきている。今週末には、各マスコミが世論調査を実施するだろう。その結果が楽しみである。

 国民的人気の高い石破氏であるが、彼が提唱する数々の政策、例えば防災省、アジア版NATO、日米地位協定の改定などは、かなり実現困難である。例えば、アジア版NATOは、集団的自衛権を認めない日本国憲法の改正無しには実現しない。憲法の改正だけでもかなりの時間と労力を要すると思われるのに、実現に向けたロードマップをどのように考えているのだろうと思う。今まで、与党内野党で好きなことを言える立場であったが、いざ自分が政権をとり、与党の立場になれば今までのように自由気ままに言っているだけでは済まない。書生気質から脱し、プロの政治家たらんことが求められるのだ。

 施政方針演説で、教育について何を石破氏が語るのか、その内容が楽しみだ。(私は何も語らないと予想しているのだが。)

「『令和の日本型学校教育』を担う質の高い教師の確保のための環境整備に関する総合的な方策について(答申)(令和6年8月27日中央教育審議会)を踏まえた取り組みの徹底などについて


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