教職調整額13%要求


 文科省が、中教審の特別部会の答申を受け、「10%以上」とした調整額で、概算要求に「13%」要求することを決めた。その他、主幹教諭と教諭の間の新ポストの創設、各種手当の増額や担任手当の新設など、答申の内容で予算に関する事項は、ほぼまるごと要求されたことになる。文科省としては、「10%以上」と答申されたために、この値になったと言えるが、何せ全国の教員に関わることであるがゆえに、0.001%の差でも大変な金額になる。これから、来年度の予算編成に向けて、財務省と文科省の折衝が開始されていくだろうが、13%満額が財務省から回答されるとは思えない。まずは、「13%」の根拠が財務省から求められるだろう。

 昔、兵庫教育大学院の教育政策コースで学んでいるとき、財務省の文科省担当の財務官の話を聞く機会があった。財務官が言うには、
「他の財務官と予算編成をするのに、厳しい折衝が財務官同士である。その時に、やはり根拠が大事なのだ。文科省との折衝もその根拠を問い質すのだが、なかなか文科省はその根拠を明確に示してくれない」
ということらしい。13%が12%ではなぜダメなのか。もっと言えば、12.6%、12.999%ではダメなのか。その根拠を文科省が示すことが出来るのかが、まずは見ものだ。この調整額が何%で落ち着くのか、財務省と文科省の力関係がわかる。

 とはいえ、13%への増額で残業代として正当な対価が払われているとは言い難い。4%の調整額で、約8時間/月の残業代である。3倍で約24時間/月。日教組調査によると、2023年11月段階で、自宅への持ち帰りの仕事も含め、月当たりの残業時間は96時間に達しているという。13%に上げたとしても、到底正当な対価が支払われているとは言えない。
 また、教員の全員が96時間以上残業を行っているわけではない。残業時間にも多い少ないがあるのだ。そして、繁忙期もそうでないときもある。一律に支払ってしまえば、余計に手当てをもらう人もいれば、全然足りない人もいる。やはり、労働に対して正当な対価を支払うということが重要である。おそらく、多くの教員は「4%→13%」で喜ぶかもしれないが、本当に労働に対する対価が正当なのかどうかを真剣に考えるべきだろう。

 ますます、「10月5日ー教師の日ー」の全国一斉行動が求められているのではないか。財務省に教員の声をぶつけなければならない。


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