教育は論点にならないのか

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 8月14日の岸田首相の総裁選不出馬宣言は、唐突と受け止められた。本人は、「以前から組織のトップとして責任を自覚していた」というが、本当かと思う。減税の給与明細への記載といい、これほど国民に見透かされた首相も珍しいのではないかと思う。とはいえ、岸田首相はそれほど失点が無い政治を行ってきた。デフレ脱却に向けた経済の好循環、大幅賃上げ、防衛力の強化、異次元と言えるかどうかわからないが、少子化対策も力点を置いた。株価も過去最高を記録した。にもかかわらず、支持率は低迷し、回復する兆しが一向に見えなかった。政治とカネの問題で、自民党の派閥解消という少しピントがずれているとはいえ、歴代内閣ができないこともやったのに・・・である。何が足りなかったのだろうか?

 水滸伝を読んでいると、いろいろなリーダー像が示されている。その一人が、流花塞を任された花栄だろう。元々青洲軍の副官で根っからの軍人である。官軍が総攻撃をかけ、流花塞を潰そうとした時、軍営全体で死守する。防御一辺倒の戦いだ。その時、軍師の朱武が花栄に意見を言う。簡単に言うと、兵を鼓舞しろというのだ。防衛一辺倒の戦いは、兵が疲弊するのだ。花栄は、弓の名手である。こんな時のために朱武がつくらせた3人力の弓を使い、敵の指揮官を狙った。敵の指揮官は、通常では絶対矢の届かないところで指揮をしている。しかし、花栄の放った矢は、敵の指揮官の胸を見事に貫くのである。戦場は静まった。そして、味方の大歓声が沸き起こるのである。敵は退き、味方は勇気づけられた。朱武は、こういうことを花栄に求めていたのだ。つまり、リーダーとしての「華」である。水滸伝の長い引用になったが、つまるところ、岸田首相には「華」がない。人を惹きつける魅力に欠けると言えるだろう。安倍も小泉(父)もいろいろ意見はあろうが、人を惹きつけるところがあった。それが無いのが岸田だ。

 さて、岸田首相不出馬を受け、自民党総裁選は乱戦模様である。まずは、推薦人20人を確保できるかというのが焦点だが、今までと同じような派閥力学で動く候補者は、まずは国民は相手にしない。堂々と政策論を展開してほしいし、国家観を戦わせてほしい。内政・外交とも課題は山積している。新聞やニュースでは、まだ政策論までは行きついていないようだ。今後展開される政策論争に是非教育を加えてほしいものだ。何回も言っているように、公立学校の現場は限界を通り越している。なんとか、働き方改革を進めなければ、日本の公教育自体が崩壊しかねない。この問題をどう取り扱い、どう解決しようとするのか、是非、政策課題に取り上げてほしいと思う。優先順位は低くとも、論点にしてほしい。


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