何が主要な要因か?


 大阪府の全国学力学習状況調査結果が、都市部で最下位になっている要因を探った結果、その要因は学校教育に起因しているのではなく家庭教育に起因しているのではないかと思わせる結果となった。学習状況調査で明確に東京都と差異があると思われるのが、家庭での学習状況や放課後、週末の過ごし方にあるからだ。そうすれば、次に考えなければならないのは、この家庭教育の差異を引き起こす要因は何なのかという問題だ。教育社会学の専門家などがよく言うことだが、「大阪府は貧困層が多い」ということである。確かに、大阪府は他の都道府県に比べて生活保護世帯の割合が高い。特に政令指定都市である大阪市・堺市の生活保護世帯の割合が大きい。それが主要な要因ならば、大阪府(政令都市以外)と大阪市・堺市の結果に明確な差異が現れるのではないかと考え、調べてみた。それが次の4つのグラフだ。

どうだろうか。中学校の国語と数学においては、若干大阪府(政令指定都市を除く)と大阪市・堺市の間に差異が見受けられるように見えるが、小学校においては、3つの線が絡み合いながら現れており、明確な差異があるとまでは言えないように思う。「思う」というのは、あくまでも統計的検定を行っていないからで、主観でしかないのだが。
 これを見る限り、生活保護世帯の多さというのが、果たして学力不振の主要な要因になるのかということは見えてこない。本当に何が原因で、大阪府は他の都市部よりも学力調査の結果が低迷しているのか。そしてその差異が家庭教育に起因しているように見えるのだが、その家庭教育の差異が何に起因しているのか、本格的な調査をすべきではないかと思う。これは、大阪府教育庁がイニシアティブをとり、各市町村教育委員会、知識人、学校を巻き込み、プロジェクトを立ち上げるべきだと思う。
 全国学力・学習状況調査が開始されてから、大阪府はずっと全国平均を下回っているのだ。その差は縮まってきているとはいえ、大都市との比較では明らかに差異がある。もう本気になって何とかすべき段階に来ているのではないか。


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