原因は家庭の教育力か?!


 昨日のブログで、大阪の全国学力調査の結果を大阪府・東京都・京都府で比較した。その結果、大阪府はこの二つの自治体と比べて、下位層が多く、上位層で少ないという状況である。いったい、この原因はどこにあるのかと思い、今度は全国学習状況調査を分析した。対象は、同じく大阪府と東京都、京都府との比較である。その結果、わかったことは
  学校教育には大きな差異はない
ということだ。国語・算数の教科教育については、(実際に検定をしたわけではないが)誤差の範囲と思われるぐらいの差しかない。総合的な学習の時間、学級活動、道徳についても同様である。児童生徒の自己肯定感、将来への展望などのコンピテンシーに関わるような部分についても有意な差は認められず、誤差の範囲だった。大阪府と他の二自治体と大きな差、特に大阪府と東京都との間で大きな差異がみられたのは、家庭での過ごし方である。

 まずは、テレビゲームなどをする割合である。次のグラフは、月曜日から金曜日にテレビゲームを1日当たり3時間以上する割合である。

学力差の順に、3時間以上テレビゲームに時間を使っている割合が少ない。小学校では、大阪府と東京都で8.2ポイントの差がある。次に示すのが、SNSや動画視聴でスマホなどを1日当たり3時間以上使っている割合である。

これも、小学校で大阪府と東京都で8.5ポイント、中学校で7.3ポイント違う。それでは、放課後の家庭学習はどうなっているのだろう。それを示したのが、次のグラフである。

小学校で平日に2時間以上勉強している東京都と大阪府の差は、15ポイントも違うし、「30分未満+全くしない」の差は、12.7ポイントも違う。中学校では、差は小さくなっているが、中学進学をする割合も考慮しなければならないと、指摘を受けた。全く正しい指摘だと思う。それでは、週末はどうだろうか?

週末についても小学校では、大阪府と東京都との3時間以上勉強している差は、12.1ポイント、「1時間未満+全くしない」の差は、13.5ポイントの差がある。そうすると、放課後や週末、子どもたちはどのように過ごしているのか、その差はどこにあるのかを示したのが次のグラフである。

明らかに、勉強に関するところで差異が生じており、他の過ごし方については、差異は誤差の範囲だ。
このデータから明らかになったのは、
大阪府の児童・生徒は、東京都や京都府の児童・生徒と比較して、スマホで動画やSNS、テレビゲームに夢中になっている時間が長いこと、そのため勉強時間が短いこと
である。学校教育の責任というよりは、家庭での過ごし方、家庭の教育力に問題があるということだ。
 大阪府には、貧困家庭が多いとかいろいろ言われるが、そこに原因を求めていくと、解決は中々できない。確かに、生活するために親が精一杯で、子どもの勉強に構っていられないという場合もあるだろう。しかし、そのような家庭が多数で、統計的影響を及ぼす主要な要因であるとも思えない。主要な要因は、保護者の意識の問題ではないかと思ってしまうのだ。
 例えば、学校・教育委員会・自治体が一体となって、「大阪府の全国学力学習状況の調査結果が、他の大都市と比べて低いのは、家庭の教育力にある。家庭でしっかりと学習させましょう」と一斉に動き出したらどうなるだろう。少しは、保護者の意識も変わるのではないかと思うのだが。それでも学習状況が改善しなかったら、大阪府の学力の問題は、相当根が深いということだろう。まずは、大阪府が本腰を挙げて家庭の教育力の向上に取り組んではどうだろうか。


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