大阪・東京・京都の学力調査を比較してみた!


 令和6年度の全国学力・学習状況調査について、その結果について、昨日大阪府を中心に、大阪府からみたコメントを行った。そうすると、都市部では大阪府だけが全国平均を下回る結果となり、東京・神奈川・愛知・京都・兵庫は、愛知の小学校国語を除いてすべて全国平均を上回っていた。そこで、もう少し、詳しくデータを見える化するために、正答数について調べてみた。大阪府・東京都・京都府をサンプルに挙げてみた。東京都は、大阪府と同様、大都市であること。大都市ならではの様々な課題を同様に抱えていると思ったからだ。京都府は、大阪府と隣接している近畿圏の自治体であるという理由でサンプルに取り上げた。それが以下のグラフである。

1.小学校国語・算数

 グラフを見ると、次のことがわかる。
①大阪府は、正答数が少ないところで、東京・京都を上回っており、正答数が多いところでは、逆に二つの自治体を下回っている。
②国語の最頻値(モード)が大阪→11問に対して、東京・京都→12問。算数は、大阪→13問 京都→14問 東京→15問
③特に正答数の多い上位層での差が大きい。
これを明らかにしたのが次のグラフである。正答数のパーセンテージをそれぞれ(大阪-東京)、(大阪-京都)で示したものである。 

正答数の下位よりも上位での差が格段に大きいことが見て取れる。ということは、以下の事が言えるのではないか。これはあくまでも仮説であるが、大阪の小学校の国語・算数では、基礎学力の知識・技能を問う問題には正答できても、読解力や思考・判断を問う問題で東京・京都に大きく水をあけられているのではないかと想像する。実際は、各問題の正答率をつぶさに見てみなければ、正確なことは言えないが、このようなことが仮説として考えられるのではないだろうか。

2.中学校 国語・数学
次に中学校の結果である。

このグラフの結果、おもしろいことがわかる。
①中学校国語については、ほぼ小学校の国語・算数と同傾向にあるが、上位層の差が縮まっていることが見て取れる。
②中学数学については、他の3つのデータと大きく異なる。
 ⅰ)大阪・東京については、「ふたコブ」的な傾向があること。
 ⅱ)最頻値は大阪→6問 京都→7問に対して、東京→13問と大きく違う。
 ⅲ)上位層については、大阪・京都の差はほとんどないが、東京とは大きく引き離されている。
③国語・数学とも、小学校の時と比べて、上位層の東京との差は縮まっている。

3.小学校・中学校の大阪―東京のポイント差の比較
そこで、大阪と東京のポイント差が小学校と中学校でどうなっているのかを調べてみた。それが次のグラフである。

この結果から、中学校の方が、上位層のポイント差は縮まっているが、下位層の差は広がっている、特に算数・数学に顕著である。と言っても、これは違う学年の比較なので、小学校から中学校にかけて学びの変化がどのような結果をもたらしたかはわからない。よって、同じ学年の経年比較を行ってみた。令和6年度の中学生が小学校の時に受けた令和3年度の小学生の結果との比較である。

4.経年比較 国語・数学(算数)

この結果から、次の事が言える。
①小学校の時に東京と大阪にあった上位層の差は、中学校になって縮まっていること。
②一方、下位層は逆に差が広がっていること。特に算数から数学になるにつれて、より鮮明にその傾向にあること。
ということは、次のようなことが言えるのではないか。学びを進めていく過程で、上位層に関しては、読解、思考・判断に関して大阪府でも伸びている傾向があるが、逆に下位層に関しては、学びについていけていない、いわゆる「落ちこぼれ」が増えているように見える。この点が、大阪府の学力に関する問題点ではないか。

問題は、東京や京都との差、学びが進むにつれて、下位層の差が拡大する問題というのが、何が原因で起こるかということだろう。それは、学習状況調査にヒントがあるように思う。もう少し、分析を続けたい。


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