全国学力学習状況調査

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 7月29日、全国学力学習状況調査の結果が公表された。クローズアップされたのは、中学国語の平均点が最低だったこと、「読む」が大幅に低下していることである。算数でも立体の問題の正答率が36%、中学数学でも証明問題の正答率が26.9%と1/4強である。読解力や思考力について、課題があることが、明らかになった。特に、「読む」力が大幅に低下したのは、SNSなどの短文に慣れており、長文を読解する忍耐力さえかけているという指摘がなされている。読書する機会が減り、活字離れが加速する結果がこれだろう。
 現行の学習指導要領では、「主体的・対話的で深い学び」、いわゆるアクティブラーニングが重視されている。以前から指摘されているように、「主体的・対話的」であっても、学びがどこまで「深い」のかということが重要なのだ。学習の方向性は正しいが、まだまだ道半ばではないだろうか。伝統的に積み上げられてきた日本の知識偏重の教育は、中々質的転換が難しいのだろう。高校・大学・大学受験の三位一体の改革も挫折し、未だ半分以上知識・技能に軸足を置いた入試が行われている限り、中々この状況は転換しないように思う。単純に導入しようとは思わないが、まさに思考・判断・表現を問うようなフランスバカロレアは大いに参考にすべきだろう。

 さて、大阪府である。小学校国語→39位 小学校算数19位 中学国語→25位 中学数学→23位である。お隣の京都府は小学校国語→4位 小学校算数→2位 中学国語→7位 中学数学→11位だ。因みに都市圏と言われるところの順位を並べると次のようになる
東京都 小学校国語→4位 小学校算数1位 中学国語→2位 中学数学→1位
神奈川 小学校国語→23位 小学校算数8位 中学国語→7位 中学数学→8位
埼玉県 小学校国語→7位 小学校算数→8位 中学国語→7位 中学数学→11位
愛知県 小学校国語→45位 小学校算数8位 中学国語→15位 中学数学→8位
京都府 小学校国語→4位 小学校算数→2位 中学国語→7位 中学数学→11位
兵庫県 小学校国語→14位 小学校算数→5位 中学国語→15位 中学数学→5位
愛知県の小学校国語の45位をのぞいて、いずれも大阪府よりも上位に位置している。これはどういうことだろうか。私がまだ大阪府立高校の校長をしているとき、京都府がかなり教育改革を行っており、実践でも思考・判断・表現に力を入れた取組をしていた。大阪府では行われていない取り組みで魅力を感じていた。そんな取り組みがこの結果に結びついているのかもしれない。東京都の結果も驚く結果である。算数1位、数学1位なのだ。

 大阪府は一体どうなるのだろうと思う。大阪府の教育は、「自分たちのやっていることが正しい」と唯我独尊的な傾向があるが、この結果を見ると決して成果を上げているとは言えない。他の自治体の取り組みをもっと参考にすべきはないかと思う。単に視察するだけではなく、大阪府に無くて、他にあるものをもっと模索すべきだろう。


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