本質が見えていない


 やはり、本質が見えていない。本日7月21日の読売新聞の政治面で、各党が石丸氏の選挙戦術を分析しているという記事があった。石丸氏のSNSやyoutubeを活用した選挙戦術を学ぼうとしているらしい。「切り抜き動画」やSNSなどが功を奏したと考えているようだ。「広角多角」でも編集員の吉田氏が「石丸流ネット選挙で問われるもの」と題して、同じような内容の記事を書いている。この人も本質が見えていない。
 石丸氏自身も語っているように、都知事選の当初は、石丸氏はマスメディアにほとんど取り上げられなかった。彼からすると、マスメディアに取り上げられなかったので、「ネットで訴えるしかなかった」のだ。当初から石丸氏がマスメディアに取り上げられていたら、彼の選挙のスタイルも変わったものになっていたかもしれないのだ。この点を二つの記事は、まずは見落としている。
 そして、最大の見落としは、石丸氏の主張が、無党派層に届いたということだ。つまり、石丸氏が演説で毎回訴えていたのは、「政治に無関心になると、変な政策がまかり通る。だから、私は政治を見える化するし、みんなも政治に目を向けてほしい」ということだ。このことが、無党派層に響いたのだ。日本の「最大政党」は、無党派層なのだ。しかし、この層は政治に関心が無い「党」だ。だから、投票にもいかない。しかし、自民党の「政治とカネ」の問題が象徴的なように、国民が政治に無関心だと、政治家は勝手気ままな事をする。そして、責任も取らない。国民の金銭感覚とかけ離れたところにいるのだ。だから、石丸氏の主張が、無党派層の心に響いたのだ。そして、彼の演説を聞いた人は、次から次に人に伝えた。それがSNSであり、youtubeなのだ。このことを既存の政党もマスメディアも全然わかっていない。関心の無い、興味のない、演説などを無党派層は拡散しない。既存の政党が、同じ手法で選挙を戦っても、必ず失敗する。

 橋下氏の「政権変容論」を読んだ。橋下氏は、1955年体制の発想ではなく、新しい変化をもたらす戦略として、「野党予備選」を提唱している。このやり方、私も誤解している部分があったが、この本を読んでよく理解できた。なぜ、「野党予備選」が必要か。所詮、野党の支持率は一けた台だということだ。野党第一党がどこの党になろうと、国民、特に無党派層は関係が無い。要は、与党を過半数割れに追い込み、野党の政策実現に向けた是々非々の状況に追い込むことが重要であると論じている。そして、野党は、わずかな自派支持の勢力ではなく、圧倒的多数の無党派層の支持を得るような戦略・戦術、そして肝心なことは熱量をもつことだと論じている。石丸氏の考えと非常に似通っていると思う。

今回の都知事選の総括を間違うと、ことごとく既存政党は無党派層からそっぽを向かれるかもしれない。とにかく、本質を見てほしい。


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