これでは読書は進まない

, ,

 文科省が20日に、公立小中学校の学校図書館で子どもの読書活動を支える「学校司書」に関する全国調査の結果を発表した。それによると、フルタイムで働く司書は、全体の3.7%しかいないことが分かった。複数校を受け持つ司書が37.4%である。一つの学校に司書が勤務する時間がとても短いということだ。これでは、児童・生徒が本に親しもうと思っても、指導・アドバイスする大人がいない。それでなくてもスマホなどの普及により読書離れが進んでいるのに、益々読書離れが進んでしまう。

 昔、横浜市にあるある私立の中高一貫校を視察したことがある。びっくりしたのは、この学校では複数の図書室があることだ。更に、その各図書室に専従の司書が配置されているのである。公立学校からすれば、信じられないほどの施設の充実ぶりだ。読売新聞によると、このような配置になっているのは、自治体の財政難が原因らしい。地方ほど、自治体の財政にゆとりはない。また、地方ほど、町の本屋が消えつつある。これでは、学校でも地域でも子どもたちが「本」というものに触れる機会がどんどん減っていくことになるのではないか。言うまでもなく、読書は学力の向上と正の相関関係を有している。本に親しむ環境をどのように充実させていくかは、重要な課題である。生徒の学力の低下にボディブローのように響いてくるだろう。

 そこで提案である。とにかく文科省は、金も持っていなければ政治的力も弱い。三流官庁である。ところが経産省は金も影響力も大きい。この経産省が、斎藤大臣のもとに「街の本屋プロジェクト」を進めている。このプロジェクトと文科省の図書室充実プロジェクトを合同で進められないだろうか。学校の図書室、そして街の本屋、ともに子どもにとっては、本に接する重要な場所である。この両方が充実すれば、相乗効果が生まれてくると思うのだが、どうだろう。おそらく、縦割り行政の中で、実現は程遠いと思っているが、こんなことが柔軟にできる政府であってほしいと思う。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

PAGE TOP