「日本版DBS」法成立

,

 まずは、法案の成立を素直に、喜びたい。子どもに対する性被害が後を絶たない。その中で、やっと法の規制ができたのである。憲法に記載されている「職業選択の自由」を一定程度制限してまで、子どもを守ることを優先したのは、画期的と言える。また、当初の議論では、対象を刑法違反だけであったのが、条例違反を含めて対象を拡大したことも評価したい。
 ただ、課題もある。法案には、第5条に

学校設置者等は、児童等との面談その他の教員等による児童対象性暴力等が行われるおそれがないかどうかを早期に把握するための措置として内閣府令で定めるものを実施しなければならない

という条項がある。「おそれがないかどうかを早期に把握するための措置」とはどういう措置なのだろうか?性犯罪を起こしていない者に対して、「君は、性犯罪を起こすおそれがあるので、配置転換します」というのは、かなり難しいだろう。どういう措置を講ずるのか、施行までのガイドラインが注目される。というのも、性犯罪の9割は初犯だからだ。子どもを守るために、「早期に把握する措置」を強化すれば、教育現場に相互不信を招くことになるだろうし、ギスギスした職場になる。かといって、緩めでしまえば、性犯罪の発生を許してしまう確率が高まる。恣意的な運用を防ぎながら、子どもを守るという綱渡り的な運用になるだろう。
 
 とにかく、この法律が早く施行されることにより、子どもを守る取り組みが実現することを願う。まだまだ紆余曲折はあるだろうが・・・。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

PAGE TOP