学校関係者評価の分析方法


 さて、今回は得られたデータの分析方法についてです。多くの学校は、4つの選択肢(そう思う、まあまあ思う、あまり思わない、思わないなど)の回答個数をそのままグラフ化したり、肯定感の%提示を経年比較したりしています。問題は、このグラフ化され、集計されたデータから何が得られるかです。例えば、肯定感が、85%から90%に上昇した場合、これは果たして「肯定感が上昇した」といって良いのでしょうか?誰が見ても上昇していることには違いありません。しかし、統計学的に「上昇している」と言えるのかどうかという問題になります。この時に、役立つのが検定、特に2つの設問の変化が、統計学的に有意義なのかどうかを判定するt検定です。私は、学校関係者評価を行う際、t検定を駆使してきました。このt検定は、どのPCにもインストールされているexcelの分析ツールを使えば、誰でもできます。統計処理アプリを使用すれば簡単にできますが、学校現場では予算的に難しいかもしれません。excelで十分対応できます。通常、5%の有意水準で判定します。
 分析する視点は、①経年でみる、②定点で見るという二つの視点があります。①経年で見る場合は、学校全体の項目が昨年度と今年度とどう変化したかをみます。変化があった場合、何が要因であるのかを探すためには、各学年の変化をみなければなりません。1年生が2年生でどう変化したか、2年生が3年生でどう変化したか、そしてこれに加えて、②の定点で見るにも関わる昨年の1年と今年の1年はどう違うのかです。これによって全体の変化が何によってもたらされたのかが、判明します。
 次の②定点で見るは、1年生なら、1年生、2年生なら2年生と、昨年と今年のある学年を固定してみます。そうすると、学年の特徴がはっきり出てきます。肯定感が向上すれば、どのような要因で向上したのかを明らかにしなければなりません。その要因が判明すれば、教職員全員で共有し、教訓化しなければなりません。逆の場合も、何が原因で肯定感が下降したのか、その要因を明らかにすること教訓化することはとても大事です。
 ここまで読んで「当たり前のことだな・・・」と思われたかもしれません。しかしながら、学校現場ではこのことが当たり前でないことが多いのです。よく、PDCAサイクルを回すと言われますが、学校はこのPDCAサイクルがあまり得意ではないのです。どちらかと言えば、去年のように今年を終え、来年も今年のように終えようとする、ルーチンワークが得意なのです。このルーチンワークに一石を投じるのが、この学校関係者評価です。つまり、PDCAサイクルのCの役割にあたるものです。ここに校長のリーダーシップがあると思います。ルーチンワークをやるだけならば、校長のリーダーシップは、ほとんど要らないでしょう。「管理」すればよいのですから。でも、これでは変化する教育情勢、世間の動きについていけません。それでなくても学校現場は固陋なところと言われているのですから。まさに、学校関係者評価は、エビデンスをもって、学校改革の方向性を示してくれる絶好のツールなのです。特に校長にとって!


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