全中改革に二人の識者

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 6月5日の読売新聞のスポーツ欄に、全国中学校体育大会(以下、全中)に関する二人の識者の意見が掲載されていた。早稲田大の中澤教授(スポーツ社会学)と関西大の神谷教授(スポーツ教育学)である。中澤教授の
「少子化の中で子どもたちの選択肢を残すには、複数の競技を楽しめる兼部やシーズン制を認め、大会スケジュールを調整することが打開策になる。」
という意見も、賛成する部分が多い。しかし、全中を残すためにシーズン制や兼部を認めるというのも、おかしな話である。子どもの成長のために様々なスポーツを経験することはとても意味があることだ。炎天下の中で熱中症を気にしながら、まともな時間も練習できないというスポーツよりも、気象状況を勘案しながら、スポーツをする方がよほど良い。
 中澤教授よりも神谷教授の意見に全面的に賛成だ。例えば、
「日本ではこれまで『全国大会で子どもが育つ』と信じられてきた。しかし、大会の規模や競技成績が教育に直結するわけではない。中学生のうちは様々な競技に触れたり、いろいろな学校の生徒と試合を通じて交流したりする経験こそ有益である。」
「今の時代にもとめられているのは、地域ごとのリーグ戦や近隣校との対抗戦など、全ての生徒が日常的に試合に出られる仕組みだろう」
「全中を廃止し、教員に履かせてきた、競技力向上と教育的指導という『二足のわらじ』をやめられるか。一部の選手だけでなく、全ての生徒に目をむけられるか。」

という意見は、諸手を挙げて賛成である。教員の働き方改革と合わせて、中学生のクラブ活動の持続可能性や教育的指導を考えたとき、もはや全中は要らないだろう。


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