面白いが、懸念もある

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 何がか。ふるさと納税を通じて、大阪府の府立高校や私立高校を学校を指定して資金援助するシステムである(最後にNHKのニュースにリンクを貼りました)。面白いと思う。とにかく、府立高校は、私立高校の授業料無償化政策で、存亡の危機に立たされている。今春の入試で定員割れをした数は、20数校に上る。他の都道府県の方は、あまりご存じないだろうが、大阪府では3年連続定員割れになると、「再編対象校」になる。この対象になれば、学校が廃校になったり、合併したりするのだ。合併しても新たな学校になるので、校舎は残っても事実上廃校である。だから、吉村知事が進める私立高校の授業料無償化政策は、府立高校を大変な事態に追いやるのである。因みに、「3年連続定員割れ→再編対象」という制度は、私は悪い制度とは思っていない。また、どこかで詳しく述べたいと思うが、学校を再編・廃校しようとすると、色々なステイクホルダーが絡んでいるので、中々進まないというのがどこの自治体でも起こる現象なのだ。その意味で言うと、府民の税金で運営されている府立高校が、定員を満たさないということは、府民のニーズが乏しいと考えられるので、再編対象にするというのは、合理的なエビデンスによる政策だと考えている。
 といっても、前にも述べたが、システム上私立高校と府立高校では、生徒獲得競争において圧倒的に私立高校が優位に立っている。府立高校を魅力化することで、この不利な競争に勝たなければならないのであるが、府教育庁から配分される予算では、中々難しい。そこで、このふるさと納税を用いるという制度で、府立高校が新たな財源を得ることができるということになるのである。非常におもしろく、魅力的な制度である。

現在寄附を募集している教育機関の取組み一覧

上記がその府立高校一覧になる。ところが、いくつか高校を選んでみたが、これを見ただけで「支援しよう」という気は起らない。もっと、webpageを工夫しなければならないだろう。支援しようと思うのは、例えば自分の出身高校であるとか、子どもが通っている(または通っていた)というように、深い縁が無ければ動機とならないだろう。そこでだ。おそらくふるさと納税しようと思う人は、金銭的に余裕のある人だと想定すれば、府立高校間にも学校間格差が、更に増すのではないかと懸念する。例えば、どの学校もPTAや同窓会以外に、支援組織を立ち上げている。卒業生などの寄付金を募っているのだ。ある学校の話を聞いたことがある。その学校が、海外語学研修に生徒を派遣する時、その支援組織からたくさんの援助を得られるというのだ。具体的な額は聞いていないが、嘘か本当か知らないが、「お土産代」まで援助してもらえるという。そういう学校もあるのだ。その一方、在籍する家庭の1/3以上が、生活保護世帯という学校も存在する。この格差を乗り越えようと思うと、相当校長の経営手腕が問われる。

この制度、おもしろいが、懸念もある。だけど、優秀な校長になら、やりがいもあるだろう。

大阪府 「ふるさと納税」活用して高校など支援の寄付制度


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