新ポストに適した人材はいるのか?

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 4月16日の読売新聞によると、文科省が新しいポストを創設するらしい。公立の小中学校に若手教員の指導にあたるポストらしい。この新ポストは、校長-教頭-主幹教諭ー新ポストー教員と、主幹教諭と教員の間に位置付けられ、給料もUPするということだ。記事には、このように書かれている。
「学校現場が多忙化するなか、ベテランの主幹教諭よりも若手教員に近い立場で、指導や助言をする役割がもとめられていた。」
と。どうも、モデルは東京都が導入する「主任教諭」をモデルとしている。経験8年以上の30歳以上の教諭から任命されている。

 さて、この制度についてである。問題は以下の通りだ。
 第一に、このポストに該当する人材がいるのかという問題である。学校現場では、とにかく人材不足が深刻化している。定員を満たさず、教頭が担任をする学校も少なからずある。これが、教員の多忙に拍車をかけているのだ。既存の校長・教頭・主幹教諭になろうという人材確保にも苦しむくらいなのだ。果たして、人材が確保されるのか。「ポストは新設しました。されど人はいません」では絵に描いた餅である。
 第二に、東京都のように、経験8年以上、30歳以上で、若手の指導に値する人材がいるのか。この経験年齢で若手の指導ができるというのは、相当力量のある教員である。私の経験で、果たして若手に指導助言ができたかと言えば、「?」が付きまくる。まだまだ新人に指導助言できることができるほど力量はなかった。悩み相談ぐらいだろう。
 第三に、このようなポストが設置されると、新任指導がそのポストに集中することだ。学校の仕事は多岐にわたる。様々なことを身に付けなくてはならない。OJTを通じていろいろな仕事を身に付けていくのだが、このようなポストが設置されると、そのポストに就いた人の影響が大きくなるということだ。力量のある人なら、新任に対して「いろんな人から、色んなやり方を学んだ方が良い」とアドバイスするだろう。それは正しい。しかし、周囲の教師は、「なんで、新任の指導やアドバイスをこっちに振るのだ。あんたの仕事だろう!」と思うかもしれない。何せ、学校現場は多忙だからだ。給与体系も変わると、益々この傾向は強くなるだろう。

以上の事を考えると、OJT、OffJTを通じて、「みんなで若手を育てよう」という雰囲気が大事である。そのためにも学校の多忙化をまずは解消しなければならないだろう。多くの学校現場は、「文科省は、また仕事を一つ増やした!」と思うかもしれない。


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